大手建設コンサル/海外市場開拓へ攻勢/相次ぎ拠点整備、現地M&Aにも本腰

 大手建設コンサルタント各社が、海外建設市場で攻勢を強めている。国内建設市場の縮小を念頭に置き、国内のインフラ需要に依存しない収益基盤の構築を目指している。各社は東南アジアを中心に中核拠点の整備や現地法人の新設、新事務所の開設を急ぐ。発注情報の早期取得などを目的に、現地企業のM&A(企業合併・買収)を本格検討する動きも出ている。
 日水コンの野村喜一社長は「政府開発援助(ODA)案件以外の事業への参画に力を入れなければ海外での成功は難しく、そのための拠点をつくりたい」と話し、シンガポールとフィリピンの2カ所で検討に入ることを明らかにした。シンガポールは情報収集拠点、フィリピンは東南アジア各国で業務を受注した時に職員を派遣するための作業拠点と位置付ける予定だ。
 日水コンと同様に、ODA案件から民間案件の受注にシフトする動きを見せるのが日本工営とパシフィックコンサルタンツだ。
 日本工営で民間開拓のカギを握るのはグループの英建築設計会社のBDP。BDPは2月にシンガポールで現地法人の登録を終え、続いてカナダ・トロントにも18年中に拠点を開設する。日本工営とパートナー企業を獲得してカナダの民間市場への参入を狙う。シンガポールにアジア統括子会社を設立し、東南アジアで受注活動を始めたパシフィックコンサルタンツの高木茂知社長は「当社にとって海外事業はリスタートであり、他社を追いかけるような事業展開で発展は望めない」と強調。民間受注に照準を絞り、PFIなどに参画するための金融関連会社や建築設計事務所、鉄道関連コンサルタントの獲得を目指す。
 昨年に海外事業の執行体制を整えた企業も多い。
 オリエンタルコンサルタンツグローバルは昨年9月、タイに現法を開設。東南アジア各国で受注した案件の設計を一手に引き受ける中核デザインセンターとして始動させた。長大はフィリピン・ミンダナオ島のブトゥアン市で複数の民間主導型PPPによる地域開発事業が始動するのに備え、昨年12月1日付でマニラ市内に全額出資の現法「長大フィリピンコーポレーション」を開設した。建設技術研究所は昨年8月に英建築設計会社のウォーターマンを完全子会社化したのに続き、9月には東南アジアの事業拠点として、同社初の海外支社となるフィリピン支社を設置した。
 他社と異なり、ローカルの理系大学と組んで市場を開拓しようとするのが、昨年12月にベトナム国家大学と技術協力協定を締結したエイト日本技術開発。協定締結はタイのアジア工科大(AIT)に続く2例目で、技術協力を通じてベトナムでの事業展開に向け技術者を確保する。同時に大学出身者とのつながりを足掛かりに現地パートナー企業を探す。小谷裕司社長は「タイやベトナムを拠点化できれば東南アジア各国で受注した事業の応援できる」と話す。
 測量分野でも海外進出の動きが活発化している。
 国際航業は東南アジアでの受注開拓を目指し、海外拠点の設置に向けた検討に入る。シンガポールや、地元の大手建設コンサルと協業関係にある台湾などを候補に挙げる。アジア航測は昨年、台湾の大手測量会社と業務協定を結び、その台中市の本社に事務所を開設した。小川紀一朗社長は「昨年10月にモンゴルの大手測量会社モンマップとも業務協定を結んだ」と明かし、近くモンゴルに事務所を設置する。

(日刊建設工業新聞様より引用)