大林組が社長交代/新トップは新領域事業の立役者/早期の信頼回復へ決意

 大林組のトップが11年ぶりに交代する。3月1日に蓮輪賢治取締役兼専務執行役員テクノ事業創成本部長が社長に昇格する。蓮輪氏は再生可能エネルギー分野を中核とする新領域事業を、建築、土木、開発事業に続く収益の柱に築き上げた立役者。好調な業績を維持し、さらなる成長につなげられるのか、経営手腕が問われることになる。
 大林組の18年3月期の連結売上高は過去最高の1兆9150億円と、5年連続して業界トップの座を堅守する見通し。そのけん引役となった白石達社長は、脇村典夫前社長の後を継ぎ、2007年6月に就任した。
 約10年半に及ぶ在任期間中に国内の公共事業の縮小を見越し、建築を主体とする国内民間市場に加え、海外市場で事業活動を強化。収益基盤の多様化を推進し、海外事業は連結ベースの売上高比率で25%を安定的に確保できる体制を築いた。
 23日に東京都港区の本社で開いた記者会見で白石社長は、「建設投資はその国の人口に比例する。日本は少子高齢化で人口は減少傾向にある。建設投資の飛躍的な増加は望めないが、その中でも会社は成長しなければならない。今後の大林組の成長を計画・実行できる素養を持った人が後任にふさわしく、まさにうってつけの人材だ」と蓮輪氏を推した。
 バトンを受けた蓮輪氏は土木畑出身ながら、11年から新領域事業に携わり、14年10月のテクノ事業創成本部新設とともにトップに就任。数々のプロジェクトを立ち上げ軌道に乗せてきた。
 新領域事業のうち再生エネルギー関連をみると、太陽光発電は12年に事業参入し昨年5月、計画していた発電所全28カ所が稼働した。11月には秋田県三種町で最初の陸上風力発電施設が運転を開始。今年の後半には、山梨県大月市でバイオマス発電施設の開業が予定されている。
 今後は、洋上風力発電事業に加え、スマートシティーやコンパクトシティー、市場拡大が見込まれるPPP事業や公共施設等運営権(コンセッション)事業などもターゲットに据える。
 蓮輪氏は記者会見で「引き続き、再生可能エネルギーによる発電事業のポートフォリオの充実に努めると同時に、ESG(環境・社会・企業統治)をにらみ、持続可能な社会に貢献できる社会インフラ整備やビジネスに取り組んでいきたい」と抱負を語った。
 海外事業については、「世界経済は好景気の局面だが、社会情勢が不安定という背景がある。そういう情勢を客観的、冷静に分析しながら取り組んでいく。中期経営計画の基本指針に従い、着実に将来への布石を打っていきたい」との方針を明らかにした。
 進行中のグループ中期経営計画(17~21年度)では、建築・土木・開発・新領域という4本柱の強化を戦略の核として、事業領域の深化・拡大とグローバル化を加速させる。創業130年を迎える21年度の連結業績目標は、売上高2兆円程度、営業利益1500億円程度、純利益1000億円程度に設定している。
 白石社長は、建設業界の現状について「今後5年、10年かけて働き方改革をやっていかないといけない」と強調。蓮輪氏は「働き方改革は新しい経営方針の中で大きな目標となってくる」と述べた。一連の問題の収束に向けては、「まずは事実関係を明らかにし、適切に対応していく。ステークホルダーの信頼を早期に取り戻したい」と決意を語った。

(日刊建設工業新聞様より引用)