大林組ら/CNTの宇宙環境曝露試験体を回収/損傷状況確認、耐久性向上技術研究へ

 大林組は2日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で航空宇宙産業向け先端材料、カーボンナノチューブ(CNT)の耐久性を確認するために行った曝露(ばくろ)試験の結果を発表した。きぼうの船外実験プラットフォームで宇宙環境に1~2年曝露した試験体を回収し、損傷度合いを調べた。今後、原子構造レベルでの損傷メカニズムを究明し、耐久性向上技術の開発につなげる。
 静岡大学、有人宇宙システム(東京都千代田区、古藤俊一社長)との共同プロジェクト。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の簡易曝露実験装置の利用テーマとして採択され、15年4月に実験を開始した。
 使用したCNTは、高品質で長尺の撚糸(ねんし)形状で、直径約20ナノ(ナノ=10億分の1)メートルの多層繊維をより合わせた。試験体は、ISS進行方向の前面で1年間、背面で1年間と2年間と条件を変えて曝露し、17年7月にすべての回収が完了した。
 電子顕微鏡で確認すると、前面で曝露した試験体は、背面で曝露した試験体よりも大きく損傷していた。原子状の酸素がCNTに衝突して損傷が生じたと考えられ、秒速9キロで進行するISS船外の曝露環境では、ISSの前面にある方が損傷しやすい環境であることを確認した。
 背面で曝露した試験体は、曝露期間が1年でも2年でも損傷の程度に影響は少ないことが判明。強度試験を実施したところ、前面・背面ともCNTのより糸の引っ張り強度が曝露前に比べ低下し、前面の方が大きく低下した。
 これらの結果は、地上で実施した曝露条件試験と高い相関性を示し、地上での試験が宇宙環境下での損傷状態を類推するのに有効であることも実証した。
 大林組は、2050年の実現を目指す「宇宙エレベーター建設構想」で、エレベーターのケーブルの素材にCNTを使うことを提案している。建設用材料としては、鉄筋の代替利用や橋梁を支えるケーブルへの利用が考えられ、柱や梁の断面を小さくし、構造物を軽量化するなどの効果が期待されている。

(日刊建設工業新聞様より引用)