大林組/山岳トンネル切羽評価にAI適用/専門家の評価結果学習、素早く高精度に

 大林組は、山岳トンネル工事での切羽の評価に、AI(人工知能)技術の一つ、深層学習(ディープラーニング)を活用し、地質学の専門家と同等の評価を可能にする切羽評価システムの開発を進めている。切羽の画像と専門家の評価結果の学習を通じて、地質状況を素早く高精度に評価することができるようにする。評価結果に基づき、支保工をより適切に設置するなど必要な手当てを行い、工事の安全性と経済性の向上に役立てる。
 山岳トンネル工事の支保工の規模は事前の調査結果を基に計画するが、事前調査だけでは限界があるため、実際に「切羽の強度」「風化変質」「割目間隔」「割目状態」「走向傾斜」「湧水量」「劣化度合」の7項目で評価し、結果に応じて計画を適切に見直す方法が採用されている。
 従来の画像解析による評価は、切羽の画像を上方、左右の3領域に分割して平均的な評価を行っていた。新システムでは、画像の領域が227×227ピクセルごとに細分化され、切羽を個別の領域ごとに評価することが可能となる。
 500万画素の場合は約70領域、1000万画素の場合には約130領域に細分化して即座に評価し、切羽の変状や崩落に対応するための局所的な手当てを行うことができる。
 システム構築に当たっては、風化変質、割目間隔、割目状態の3項目について、工事現場70カ所、1035枚の切羽の画像と専門家の評価結果を基にしたディープラーニングの学習データを作成。米国の数学的計算ソフトウエア会社「マスワークス」の日本法人が協力している。
 ディープラーニングのモデルには、信頼性の高い画像識別モデル「AlexNet」を利用。切羽の画像を評価させると、専門家が判断した評価結果との的中率は、風化変質(4分類)で87%、割目間隔(5分類)で69%、割目状態(5分類)で89%となった。
 今後、現システムの試行を通じて、評価結果の的中率向上に向けた学習データの改良などを進めるとともに、年度内に新システムを設計し、18年度にさらに制度を高めたシステムを完成させる予定だ。

(日刊建設工業新聞様より引用)