奥村組、パスコ/シールド工事地表面変位測量に人工衛星適用/広範囲に面的計測

 奥村組とパスコは14日、地上に電波(マイクロ波)を照射して地表面の状態を観測する合成開口レーダー(SAR)衛星を、シールドトンネル工事での地表面の変位測量に適用したと発表した。衛星から地面や建物など対象物を直接観測するため、立ち入りが困難な場所を計測でき、時間や天候にも左右されにくい。測量機器を使った従来の方法と同等の精度を確保し、面的に広範囲を計測できることを実証したという。
 SAR衛星は、地球を周回しながら、地上に向け自らマイクロ波を照射し、その反射波を受信することで対象物を観測する。事前に人工構造物など安定して計測可能なポイントを特定し、同点に変位が生じた場合、地球を周回するSAR衛星が受信する反射波にずれが生じる。この値を解析し、変位量を算出する。
 この解析により得られる地表面の変位量データを視覚的に捉えるため、変位の大きさごとに色分けしたメッシュ図やコンター図を表示するシステムを独自に開発した。メッシュ図やコンター図に2次元の地図や航空写真、シールドマシンの位置を重ね合わせて表示することも可能という。
 京都市上下水道局発注の「新川第6排水区新川6号幹線(雨水)(その1)公共下水道工事」(シールドマシン外径2890ミリ、掘進延長1176メートル)で、掘進開始から完了までの約1年2カ月の間、計画線の全長を対象に、幅100メートルにわたり計30回以上の頻度でSAR衛星による計測を行った。
 掘進ルートの周辺は交通量が多く、歩道も狭い住宅密集地だったが、立ち入りが困難な私有地などの制限を受けることなく、多数の観測点で広範囲を面的に計測できたという。シールド工事以外に幅広く活用することも視野に改良を重ねていく。
 シールド工事では、地表面への影響を最小限に抑えながら安全に掘り進めるため、シールドマシン直上や周辺地表面の変位を監視する。対象箇所に複数の観測点を設け、水準儀やGNSS(全球測位衛星システム)測量器を使って測量し、変位経過を監視する方法が一般的とされる。
 ただ、これらの方法は観測点付近に測量機器や受信機を設置する必要がある。シールドマシン通過後の地表面の変位を継続して監視する場合や変位を面的に把握したい場合は、多くの観測点を設けて計測を継続する必要があり、多くの時間と労力がかかることが課題となっていた。

(日刊建設工業新聞様より引用)