学生向け住宅の供給強化

伊藤忠都市開発360戸、三井レジ178戸を竣工


大手デベロッパーが大型の学生向け賃貸住宅を開発している。
今春、首都圏に2棟の新築が完成。
伊藤忠都市開発(東京都港区)は神奈川県川崎市で学生向け第一号物件全360戸を、三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)は東京都練馬区に全178戸を開発した。

伊藤忠都市開発は、地方から都市部に流入する学生や留学生の増加によって、安定的な需要を見込める学生向け賃貸物件の開発に注力していく。
年2、3棟の開発を目標にしており、首都圏だけでなく留学生の増える見込みがある京都や大阪も対象エリアにしている。
完成した神奈川県川崎市の『CREVIA WILL(クレヴィア ウィル)武蔵小杉』は、2016年6月から募集を開始し、3月末時点の入居率は85%だった。
約半数が学校による借り上げで、物件の一部は、青山学院大学とテンプル大学の国際学生寮として運営される。

入居開始前に95%以上の申し込みが入った三井不動産レジデンシャルの第1号案件は、東京都練馬区の『カレッジコート平和台』。
土地を仕入れ、7階建て178戸の大型物件として建築した。
入居開始は4月1日で、毎日コムネット(東京都千代田区)が一括借り上げし、運営する。
第2号物件は東京都新宿区で、早稲田大学の学生をメーンターゲットにした、500戸の大型学生寮をすでに着工している。
グループでは、賃貸住宅を対象アセットとする日本アコモデーションファンド投資法人(以下、NAF)の運営を三井不動産アコモデーションファンドマネジメント(東京都中央区)が行っているが、NAFは京都市や首都圏に学生向け賃貸住宅を保有している。
今後は、三井不動産レジデンシャルが開発した案件をリートに売却することで、保有リスクを減らすことも考えられる。
三井不動産広報部は「現時点では都内を中心にした開発だが、今後は全国の主要都市に広げる可能性もある」とコメントした。

17年4月に改正される国公立大学法人法を商機と捉えているのは、みずほ銀行(東京都千代田区)だ。
丸紅(東京都中央区)、東京建物(同)と共同で留学生向け寄宿舎の建設ファンドを創設する。
ファンドは100億円規模を想定。
1拠点当たりの収容人数は300人程度で、管理運営は外部に委託する構想だという。
法改正によって、国公立大学が所有する不動産を第三者に貸し付けることが可能になったため、敷地内での留学生寄宿舎の需要が高まると判断した。
首都圏だけでなく地方中核都市を含め国内7、8拠点での建設を視野に入れている。

各社が学生をターゲットにした賃貸住宅を新築する背景には、少子高齢化の中でも安定した需要があると見込んでいるからだ。
16年12月に文部科学省が公表した大学などの教育機関に対する調査結果では、全国の大学在学生は287万人で、前年度より1万3000人増加している。
少子化の影響で専門学校や高校などほかの学生数は全体的に減少傾向だが、大学進学率の上昇が寄与している。
同調査で、高校卒業後に大学や短大に進学する割合は54.8%で前年度比0.2%増、過年度卒業生を含むと前年度比56.8%で同0.3%増だった。
さらに政府は、海外からの留学生を増やそうとしている。
現在国内には20万人の外国人留学生が在籍しているが、20年までに30万人まで増やす計画だ。

大学側も留学生を含む学生を確保するために、住宅を整備する動きが活発になっているようだ。
全国で学生用の賃貸マンションや寮を運営している共立メンテナンス(東京都千代田区)では、16年3月期だけで、東北学院大学など10大学と新たな提携を結んでいる。
入居者の入れ替わりが完了する4月時点の入居率も向上しており、17年3月期の昨年は98.3%で前年比1ポイント増加。
これは学生寮だけでなく社員寮なども含めた入居率だが、契約数の内訳をみると、学生寮は2万685人で寮事業の6割を占めている。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)