宅配ボックスに不正配送忍び寄る

再配達問題から集合住宅への普及が加速している宅配ボックスが、不正購入した物品の受け取り場所として利用される危険性が高まっている。
4月28日、神奈川県警察本部で行われた「空き部屋対策推進連絡会」で議題に上がった。


メーカーも警戒強める


賃貸物件の空室を悪用した犯罪が全国で相次いでいる。
神奈川県警では検挙数が増加していることから、2回目の連絡会を開催。
公益社団法人神奈川県宅地建物取引業協会、公益社団法人全日本不動産協会や公益財団法人日本賃貸住宅管理協会、NPO法人日本地主家主協会などの不動産業界団体に加え、神奈川県内の住宅供給公社や、独立行政法人都市再生機構などから40人ほどが参加した。

問題になっているのは、空室の鍵管理システムを利用した犯罪。
手口は不正に入手したクレジットカード情報を使い、転売を目的にインターネットで注文した商品を賃貸住宅で受け取るというもの。
現地に保管されている鍵を使い室内に入り、住人になりすます。

連絡会では、神奈川県警が空き家利用の犯罪実態について報告。
検挙数は2015年が20件12人、16年が44件31人、17年1~3月末が13件6人だ。
すべて賃貸住宅の空室で、被疑者の9割は中国人だった。

連絡会には宅配会社やインターネットネット通販会社、ネット銀行も出席し、被害状況や防止策について報告した。
意見交換では、宅配会社の労働環境の改善を図るために再配達を削減する宅配ボックスの普及が推進される中、空室と同じように不正購入品の受け取りに悪用させる危険性があると意見が出た。
すでに県警では目を光らせ、宅配ボックスメーカーとの情報交換をしている。
居住スペースにはない宅配ボックスは住居侵入で検挙することが難しく、防犯カメラの設置を推奨している。

以前から、ダイヤル式で暗証番号を設定して荷物を預けるタイプの宅配ボックスでは、荷物が盗まれたり、悪用されたりするなどのトラブルが、問題視されていた。
特に賃貸住宅に導入されているものは比較的安価なため、セキュリティ機能が低く、狙われやすい。
コンピューターで制御され荷物の取り出し専用のIDやICを入居者に発行するタイプの宅配ボックスでは被害が少ないようだ。
宅配ボックスメーカー大手フルタイムシステム(東京都千代田区)の原周平副社長は「今後、宅配ボックスの導入を検討する家主や管理会社は、コストだけでなく、セキュリティ性も考える必要がある」と語った。
賃貸住宅が犯罪の温床にならないよう対策が必要だ。


キーボックスをアプリで解錠


また連絡会では、空室への侵入を防ぐ方法を共有した。
神奈川県警は郵便受けにはめ込み、空室であることを周知し、宅配不在票を投函させないようにステッカーの活用を促した。

また宅都ホールディングス(大阪市)グループのスマサポ(同)では、現地で鍵を保管するキーボックスにアプリで解錠するシステムを搭載した開発中の商品を紹介した。
スマートフォンにダウンロードしたアプリで指定日時のみ解錠できるようになる。
管理画面ではいつだれが解錠したか記録が残る仕組みだ。
同じアプリでエントランスのオートロックドアの開閉操作もできる。
IHIグループのIHI運搬機械(東京都中央区)と共同開発を進めている。
7月から宅都グループの管理物件で実証実験を行い、今秋販売予定。

ターミナル(東京都港区)は、配送先に指定された住所が空室か確認できるシステムの仕組みを紹介した。
インターネット通販会社では不正な商品購入を阻止する対策をとっている。
配送先の住所が空室か瞬時に判明すれば、不正購入を防ぐことができるという。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)