家賃債務保証担う支援法人を新設

住宅セーフティネット法改正

平成32年度までに17万5000戸の登録目指す


高齢者や子育て世代、低所得者など住宅確保要配慮者の住居確保に関する「住宅セーフティネット法」の改正法案が、今国会で成立する見通しだ。
法案には、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として自治体に登録した物件への家賃、家賃債務保証費用、住宅改修費それぞれに対する補助、さらに居住支援法人の新設などが盛り込まれる。
セーフティネットの法改正により住宅確保要配慮者向けに民間賃貸住宅の空室の提供を促す。

今回の住宅セーフティネット法の改正では、本紙1月9日号でも報じたように、高齢者、低所得者、子育て世代、被災者などの住宅確保要配慮者に限定した「専用住宅」として賃貸住宅を自治体に登録すると、最大4万円までの家賃補助と家賃債務保証料最大6万円までの補助が受けられる点が注目されている。

この専用住宅では、登録する住宅の単位を1住戸から可能にすることでで、登録のハードルを下げている。
同時に国交省が注力しているのが、専用住宅とは別に住宅確保要配慮者の入居に限定はしないが、拒まない賃貸住宅の登録だ。
登録済みの住宅の情報を開示することで、入居を促進しやすくする。
専用住宅を含む登録した住宅ではすべての住宅要配慮者を対象にしなくても良い。
例えば、高齢者や被災者のみ入居を拒まないという選択ができる。

ただ、「箱は整備されても、人のマッチングの課題は残る」(国交省住宅局住宅総合整備課賃貸住宅対策室立岩里生太室長)というように、空室を保有している家主と入居したい住宅確保要配慮者の円滑なマッチングの仕組みの構築が重要だ。

そこで、今回両者のマッチングを担う「居住支援法人」を新設する。
居住支援法人は、自治体にある居住支援協議会の活動の核になる団体と位置づけ、都道府県から指定を受ける。居住支援法人として想定しているのは、福祉系NPOや社会福祉法人、CSR活動を行う一般企業、そして、不動産会社だという。
居住支援法人の具体的な役割としては、住宅確保要配慮者の相談窓口となり、相談に応じて、登録住宅の情報提供、入居後のフォロー、そして、家賃債務保証事業も行う。
家賃債務保証事業を担うとなると、一般的に住宅確保要配慮者は家賃滞納リスクが高いため、居住支援法人には大きな負担になりかねない。
そのため「家賃債務保証事業については、住宅金融支援機構が家賃保証保険を担う計画で動いている」(立岩室長)。
不動産会社が居住支援法人になれば、住宅確保要配慮者の情報が入手しやすくなるというメリットがあるだろう。


代理納付の拡大図る

今回の法改正では、生活保護受給者に対する住宅補助費が直接貸主に支給される「代理納付」拡大の狙いもある。
生活保護受給者の住宅補助費の代理納付の現状は、公営住宅が6割あるのに対し、民間住宅等は13%程度と少ない。
そのため、住宅補助費を使い込んでしまい、家賃滞納してしまう受給者もおり、入居促進が図りにくいことがあった。
一方で、代理納付が進まなかった理由として、貧困ビジネスの悪用に対する懸念や居住が安定しないため転居頻度が多くなり自治体にある福祉事務所の手続きが煩雑になるなどの理由があった。
そこで、今回の制度改正では、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の登録によって、貧困ビジネスの排除が可能であること、居住支援法人の新設によって入居後の見守りサービスなどをケアすることによって居住の安定を図ることが可能だ。
さらに登録した住宅に住む受給者が家賃滞納を起こしそうな実態がある場合、家主から代理納付の変更に関する通知を福祉事務所にできる。
その通知事実の確認の義務がある福祉事務所が、代理納付の判断をし、法律手続きにのっとって、代理納付を進めていくことができる。

同制度の施行は国会での可決、公布を経て、今秋を見込んでいる。
国交省は平成32年度までに17万5000戸の住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅の登録を目指す。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)