廃炉への道程-福島第1原発の6年・4/遠隔操作技術の高度化急ぐ

 デブリ取り出しへ多分野結集

 福島第1原発の廃炉に向けた工程で、最大の難関といえる原子炉から溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出し作業。関連調査や準備を含め、これまで以上に高線量下での厳しい作業となる。一連の作業を安全に効率よく進めるために、遠隔操作・ロボット技術の高度化が求められている。

 東京電力の関係者は「デブリの取り出しに向け、原子炉建屋内でさまざまな業務・工事が行われる。建屋周辺では多くの重機が動き回るので路面の補強や、作業の障害になる施設の解体などの環境整備も必要だ。建設・メーカー各社には一段と厳しい状況の中、安全第一かつ着実に仕事を進めてもらうようお願いしていく」と話す。

 大林組は、東電の汚染水処理対策技術検証事業で無人ボーリング技術検証事業に参加した。衛星通信ネットワークシステムを利用したリモート操作ボーリングシステムを開発。現場で多くの重機やロボットを動かす際に出る信号の混線問題を解消し、遠隔地からのリモート操作を可能にした。

 清水建設は太平洋マテリアルと共同で、炉心溶融などによる原子炉格納容器の損傷箇所の補修関連技術として、水中不分離性モルタルを開発した。原子炉建屋内での仕事が今後増えることを見据え、昨年には廃炉事業の実績が豊富な英キャベンディッシュ・ニュークリアと技術協力協定を締結している。

 放射線から作業員を守る対策も欠かせない。現在の防護服には鉛やタングステンなどの金属素材が使用され、重さが約15キロにもなって作業員の負担が大きい。鹿島の関係者は「ロボット技術の搭載などにより、肩や腰など体への負担を軽減する防護服の開発を進めている」という。

 高硬度・高線量のデブリの取り出しに向けた関連技術の研究開発の一環で、大成建設は3年前にデブリの除去工法を検討する資源エネルギー庁の補助事業を受託。15、16年度も補助事業の採択を受けており、国の主導で進む研究体制の枠組みの中で、ゼネコンでは唯一、デブリの取り出し方法の開発を進めている。

 同社の研究チームは、高硬度物質の切削方法の選定に当たり、レーザー切削は高線量下での精密機器の作動が難しいと判断し、ボーリング工法に着目。遠隔操作ができる無人化ボーリング工法の開発を進めており、自動運転で作業ができる切削マシンを完成させた。

 ロッドの先端に取り付けたダイヤモンドビットでデブリを切削する。対象物に応じてドリルヘッドを変えられる多目的掘削機能を付加。模擬デブリによる切削試験では一つのビットで5センチほど切削できるようになった。同社の担当者は「交換したビットはすべて放射性廃棄物になる。一つのビットの切削長を伸ばし、ビット寿命を少しでも長くしたい」と話す。

 現時点の計画で2021年の開始を予定しているデブリの取り出しは、未知の領域での作業となる。建設各社がさまざまな現場で培った技術や知見も、取り出し作業を進めるには欠かせない。多くの分野の関係者が知恵を出し合いながら、廃炉事業の完遂を目指すことになる。

(様より引用)