建設キャリアアップシステムを語る・1/国交省土地・建設産業局長・谷脇暁氏

建設キャリアアップシステムを語る・1/国交省土地・建設産業局長・谷脇暁氏

 ◇技能と経験、客観的に示す/納得利用へ調整役果たす

 --建設キャリアアップシステムが今、なぜ必要なのか。

 「建設工事は、現場で技術者と技能者がどういう仕事をするかが出来栄えを大きく左右する。そうした構造の中で、技術者については保有資格や現場経験を記録・蓄積する仕組みがある。どの程度のレベルの技術者を何人抱えているかが企業評価にもつながる。一方、技能者には、技能や経験が分かる仕組みが今はないのが実情だ」

 「昔は親方が弟子に技をしっかりと教えて職人を育てた。そうした関係が薄れた現状では、技能者がどのような技能や経験を持っているかを客観的に示せるシステムが必要だ。それによって処遇を決めることができるようになる。どの程度の技能者を抱えているかで専門工事業者の企業評価も行えるようになるだろう。これが建設工事の質の向上にも結び付くと思う」

 --担い手の確保にはどう役立つ。

 「中小・零細の多い専門工事会社であっても、きちんとステップを踏んで技能が向上し、処遇が改善されていくことを示せれば、入職促進へのアピール効果は大きいだろう。経験がシステム上に記録されていくので、一度業界を離れた人が再び入職する際に生かすこともできる。これまではどこで何をしていたのか分からなかった」

 --生産性向上にはどう寄与する。

 「生産性向上では、施工の機械化やICT(情報通信技術)の活用だけでなく、人材にどう効率的に働いてもらうかも大きな課題だ。その面で、このシステムの導入が生産性を大きく高めることになる。システムの拡張性も視野に入れれば、日々の書類作成や進行管理などにも役立つ。建設業退職金共済制度の共済番号をシステムに記録することで連動させることも可能になる。手帳に証紙を貼る今の仕組みがシステムによって効率化できれば、退職金の積み立ても確実に行えるようになるだろう」

 「運用が本格化すると、システムをどう活用していくかさまざまなアイデアも出てくるだろう。都市部の大規模現場だけでなく、地方の小規模現場でも工夫して使い方を模索していただきたい。体系的で効率的な教育訓練の実施にも役立つのではないか」

 --システムを利用した事業者の評価はどう行うことになるのか。

 「職種や企業規模の違いを踏まえた評価が必要になるだろう。少ない人数でも質の高い人材を抱えている企業が評価されることは重要だ。17年度にシステム上の評価基準を作成することになっている。技能や経験に応じて技能者に配布するカードを色分けする際にも活用できる」

 --システムの開発・運営は民間の資金で行われる。国土交通省はどのような役割を果たすのか。

 「建設産業にとって非常に重要なシステムになる。開発や運営に要する費用は、利用する業界の皆さんに負担していただくが、システムに対してさまざまな意見があることも承知している。納得して使ってもらえるよう、国交省は調整の役割を果たしていきたい」。

 〈官民のさまざまな立場の関係者に建設キャリアアップシステムについて聞きます〉(編集部・「建設キャリアアップシステム」取材班)

(様より引用)