建設キャリアアップシステムを語る・3/全国建設業協会労働委員会委員長・中筋豊通氏

 ◇若者が夢を託せる産業に/検討必要な事項まだまだ多い

 --建設キャリアアップシステムの必要性をどう認識している。

 「建設産業は、国民の生活と経済活動の基盤であるインフラの整備と維持管理の担い手だ。災害時の緊急対応と復旧・復興、冬季の除雪作業など地域の安全・安心を守る重要な使命を担っている。しかし、長年にわたり公共投資が大幅に削減され、受注競争が激しさを増したことで、全国建設業協会(全建)の会員企業をはじめ地域建設業の経営環境は大変厳しい状況にある」

 「高齢化と人口減少が進み、若い担い手を獲得する競争が産業間で行われている。技術者と技能者の不足が現実的な問題となり、建設業は存続の危機を迎えている。若年層の入職を促すには『給与・休暇・希望』の『新3K』が大切だ。他の産業以上に魅力を高め、働く人が夢を託せる産業にしなければならない。技能者が経験と技術・技能に応じた評価を受け、処遇が改善されることが不可欠で、システムの一番の必要性はここにあると考えている」

 --全建傘下の一部の協会は、期待と共に課題や懸念も表明してきた。

 「地域建設業の下請業者は、その地域に本社を置く企業がほとんどで、そこで働く労働者にも地元の人が多い。地域建設業にとって大切なことは、地域の下請業者と一緒になって労働環境を改善し、大手に負けない魅力ある企業を共に目指すことだと思っている」

 「われわれの下請業者は、労働者の出入りが限られる。多くの経営者は能力を把握できる技能者を雇用している。労働者の流動性がほとんどない業態では、システムに登録し、カードを持とうとする技能者が限られてしまうのではないかと危惧している。中小企業が大半の地域建設業にとっては、費用負担を伴う『カードリーダー』を備え付ける現場がどの程度の規模になるのか、そこの関心も高い」

 --評価のあり方も懸念材料に挙げてきた。

 「能力によって色分けされるというカードと、技能者のレベルが一致するのか疑問に思っている会員企業がある。資格は豊富に持っているが、現場施工に必要な能力がやや劣るような技能者をどう評価するのか、会社で作業図面を書いているような技能者を含めた会社としての評価をどうするのか、ここを気にしている会員企業は少なくない」

 「カードの色が異なる技能労働者の労務単価が区分されるのか、労働者に支払う賃金との関係性、民間工事での単価の扱いなど、検討すべき事項はまだまだ多い。下請業者にシステムへの登録をお願いするが、土木なら中・大型工事現場の仕事に従事する会社や技能者に限られるのではないか。登録する技能者も下請業者によって異なるだろう」

 --システムの整備・運営にどう関与していく。

 「開発・運用に全建として3000万円を拠出し、多くの都道府県建設業協会で登録窓口業務を受託することを決めた。利用を促すには、さらに参加しやすい環境の整備や、必要となるであろう経費などを含む公共と民間工事の格差是正が必要で、要望をまとめている。運営協議会などを通じてその実現に努めたい」。(中筋組社長)

(様より引用)