建設キャリアアップシステムを語る・5/向井建設代表取締役会長・向井敏雄氏

 ◇適材適所の配置可能に/個人負担を上回る受益ある

 --建設キャリアアップシステムの開発が本格始動する。導入によってどのような効果が期待される。

 「不特定多数の技術者や技能者が出入りする都市部の現場では、特に労務管理が難しい。個々のレベルが分からず、職種間でのトラブルに発展することもある。システムを導入することによって、技術・技能レベルの情報を共有できるようになる。そうなれば、仕事上でのミスマッチを解消できる。仕事の内容に応じて適材適所で人員を配置できるようにもなる。就労者側から見れば、本人の能力に見合った処遇が得られるようになることが期待できるだろう」

 --専門工事会社を運営する立場から見た場合、何がメリットになる。

 「これまで曖昧だった雇用関係が明確になる。各社が抱える労働力の実態が分かるようになり、客観的なデータから専門工事業者の評価が行われることになるだろう。社員教育に積極的に取り組み、資格保有者を増やすなどの努力を重ねる企業が報われるべきだ。システムの導入が、業界の健全な発展に結び付けばよいと思っている。ブローカー的な存在もなくなっていくのではないか」

 「ただ、企業評価の際に、技能者を数多く抱えるなど、企業規模の大きさだけが有利に働くようではよくない。発展途上であっても、意欲を持って努力する企業は評価されるべきだろう。技能者のレベルに応じた保有割合を企業の評価軸にしてはどうかと考えている」

 --システムは民間団体が費用を拠出して開発・運用される。

 「このシステムは、建設業全体の健全化につながる事業であり、国が予算を投入してでも開発すべきだという考え方もある。ただ、他産業でも同様の仕組みを取り入れたいという意向があることを考慮すれば、すべての業界のシステム開発を国費で賄うのは財政制約上、難しいだろう。民間の費用であっても、業界全体の改善に結び付くのだとすれば、大きな負担にはならないのではないか」

 「技能者一人一人に発行するカード1枚の料金として3000円程度を徴収する。それでも、システム登録をきかっけに処遇が改善していくなら、負担を上回る受益を得られるメリットが出てくるだろう」

 --国土交通省が進める建設産業行政にはどう寄与するとみている。

 「建設業の曖昧な部分がシステムによって相当解消できるだろう。社会保険や建設業退職金共済制度への加入の有無、どの程度の処遇を得ているかも分かってくる。これまで雲をつかむような中で行われていた業行政が、実態を反映したものになるのではないか」

 --向井建設としては、システムの導入をどう進める考えか。

 「当社の社員で現場に出入りする技術者、技能者については、全員システムに登録させる。主要な協力会社で社会保険に加入している技能者の登録も推奨していく。システムを活用した企業評価は、2次、3次と連なるツリー形の施工体制で見ていくことになる。当社の制度で認定された職長は登録してもらうことになるだろう」。

(様より引用)