建設キャリアアップシステムを語る・6/全建総連書記次長・田口正俊氏

 ◇技能者登録で「材工」から脱却/現場経験の蓄積が誇りに

 --システムをどう受け止めている。

 「全建総連の組合加盟の職人たちは土木、野丁場、町場の一戸建て住宅など、さまざまな現場にいる。システムに対する認識の度合いはそれぞれ違うが、全体的には特に若い人たちを中心に肯定的に捉えていると思う。これからの建設生産に必要なものだ。これまで『材工共』『1人工いくら』などといって建設資材と同じように扱われてきたが、本人確認の必要なIDカードを受け取ることによって、一人の技能者として認識される段階にようやく到達する。これが本質であり、その意味で重要なシステムであると認識している」

 --技能者の処遇改善への期待は。

 「システムが導入されたからといって、すぐに処遇改善につながるわけではない。あくまで前提条件ができるにすぎない。技能者が特定され材工から初めて脱却する。そこから労働条件の整備が始まるという第一歩になる。そのための共通の仕組みを業界団体と共に作り上げていくことが大事だと考えている。全建総連としても組合員に登録を呼び掛けていく。社会保険などの加入状況が正しく登録されることで、法定福利費や建設業退職金共済制度(建退共)証紙の請求などに活用できるだろう」

 --町場の一戸建て住宅の現場で登録は進むか。

 「就労履歴登録機構でスマートフォンを活用した入退場管理に取り組んだことがあり、おおむね好評でトラブルもなかった。小規模な現場でも活用できるようになれば、全国的に普及する可能性はあると思う。顧客に対して身元や技能、資格を客観的に示すのに利用することも考えられる」

 --全建総連としてこれまでも準備室に人を送るなど積極的に関与してきた。

 「今後も求められれば人材を送り込む。業界団体も拠出している資金も、16年度末までに3000万円を出した。建設産業全体で若者を確保する取り組みを進めるためにも、引き続きしっかりと連携を図っていく。業界共通のインフラとして、技能者や零細事業者に魅力あるものになるよう、開発と運用に積極的に関わる。全建総連として受付窓口を全国300~400カ所設けることにもなるだろう」

 --認定職業訓練校を数多く構える立場でシステムをどう捉えている。

 「認定訓練校で学ぶことによって資格が取得できる。これを履歴に残していくことができるようになれば有効だ」

 --システムが稼働した先の姿をどう見る。

 「重層下請がまったく必要ないとは捉えていないが、過度な重層化は改善されていくのではないか。システムに登録して現場で働くということは、生産意欲を引き出すことにもつながるだろう。履歴の蓄積によって『こういう現場で仕事をした』と、誇りを持って具体的に証明できるのは大切なことだ。技能者としてのステータスになり、働く喜びにもなる。事例を積み重ねることで、現場が明るい雰囲気に変わってくれれば良いと思っている」。

 =おわり

 (編集部・「建設キャリアアップシステム」取材班)

(様より引用)