技・人づくり専門工事業ファイル・5/佐藤興業(東京都)/18年で創業100周年

 ◇人材育成が老舗の活動支える

 建築塗装の佐藤興業(東京都千代田区、佐藤周平社長)は、来年で創業100周年を迎える。先輩から後輩への技能の伝承には特に力を入れ、毎年3~5人の高卒社員を対象にした新入社員研修を皮切りに、1、2年目研修、職長クラス研修と段階を踏んで学べる機会を用意している。売り物の特殊塗装を含めた技能の習得に努めながら、職人としてレベルアップを図れるようにしている。
 大手ゼネコンの下請として建築塗装や外壁改修などを手掛ける同社の社員数は84人。半分が技能工で、協力会社と共に東京地区だけでも日々250人ほどが現場で作業に従事する。最盛期にはその数は350人ほどに膨れ上がる。米国直伝の特殊塗装技術を駆使して有名テーマパークの塗装工事も手掛けている。
 4月に入社する新卒者はまず、1週間の新入社員研修でヘルメットのかぶり方、道具の使い方など現場で働くための基礎知識を学び、その後配属される各現場で先輩社員に付いて仕事を覚える。
 1、2年目研修には年1~2日を充て、千葉県浦安市の自社工房で実際に仕事を請け負ったことを想定し、準備作業や見積もりを含めた模擬施工を実践する。「手元として働くだけでは点しか見えないであろう彼らに、視野を広げた現場感覚を身に付けさせる」。採用や技能教育の企画を担当する佐藤東平取締役営業部長は、研修の狙いをそう語る。
 3年目以降も、定期的な特殊塗装の研修や塗装技能士の資格取得に向けた研修を行いながら、技能レベルの向上を目指す。資格取得費用は会社が負担。準備講習会も社内の1級技能士が行う。2年ごとに本選が行われる日本塗装工業会(日塗装)主催の全国建築塗装技能競技大会にも毎回挑戦。事前の練習会を重ねて万全を期した今年の大会では上位を独占した。
 佐藤取締役の曽祖父、佐藤宗平氏が1918年に金沢市で創業した同社の社訓には、「創意工夫」が掲げられている。会社にとっては技術がすべて。常に研究を重ね、技術・技能レベルの向上を追い求めてきたことが、100年に及ぶ活動を支えてきた。
 11月には、自社や協力会社の職人が参加して米国への研修旅行を実施した。特殊塗装の本場で本物に触れて何かを感じ、井の中の蛙(かわず)とならないようにすることを最大の眼目とした。約20年ぶりの海外研修では、各種テーマで塗装を施すラスベガスのホテルなどを見て回った。今後もこうした機会を設けていきたいという。
 都内の工業高校に求人票を毎年出し、インターンシップを受け入れ、ゼネコン協力会主催の高校生向け技能体験会にも積極的に参加する同社には、特殊塗装に興味を持った若手人材が来春入ってくるという。
 本年度、東京都中小企業技能人材育成大賞知事賞で優秀賞を受賞した。佐藤取締役は「先人たちの培ってきた取り組みが今年、実を結んだ」と話し、引き続き人材育成に力を注いでいく考えを示している。

(様より引用)