技・人づくり専門工事業ファイル・8/マツザワ瓦店(名古屋市中川区)

 ◇「瓦プレカット」で収益拡大/海外でも活躍できる人材育成

 瓦ぶき士として江戸時代から続く家業を源流とするマツザワ瓦店(名古屋市中川区、松澤考宏社長)は、先々代の社長である祖父が1948年に合資会社として立ち上げ、先代の父が97年に株式会社化するという経緯をたどってきた。松澤氏は2003年、30歳で社長に就任。同業他社にない瓦のプレカットで生産性を高め、グループ全体の売上高を就任時点の7倍に引き上げるなど、収益拡大につなげてきた。
 単体の社員数は職人を含めて20人。プレカット工場を運営する子会社、協力会社、フィリピンやベトナムからの技能実習生などを含め常時100人ほどが瓦施工主体の同社で働く。元職人の高齢者や障害者も雇用し、適材適所でさまざまな役割を担ってもらっている。
 群馬県藤岡市に関東支店を置き、群馬や埼玉、横浜、静岡、山梨、長野、愛知、福井と広範囲な商圏でハウスメーカーから受注する個人向け住宅の瓦工事をメインに事業を展開。社寺仏閣の案件を手掛ける時には、和瓦専門の専属職人を呼んで対応する。直近の売上高は単体で6億0100万円、グループ全体で14億6000万円。社長就任時に単体で2億円弱だった売上高は新機軸を打ち出しながら徐々に拡大。複数のグループ会社と合わせて7倍の規模に育て上げた。
 収益拡大につながった理由の一つが、父の時代に導入した「クリーンカー」を用いたリフォーム工事。屋根土の撤去時にバキュームカーを改良したクリーンカーで乾式吸引することで環境に配慮した施工を行う。この効果で一般顧客に対応した「BtoC」案件も増加。職人の作業環境も格段に改善した。
 17年ほど前に始めた瓦プレカットは、屋根の上で職人が現場に合わせて瓦端部をカットする生産効率の低さを解消したい、という松澤氏の思いを結実させた取り組みだ。ハウスメーカーから屋根の設計データを受け取り、CADを使って自社のオペレーターが現場の意見も取り込みながら図面を作成。それをベースに工場でカットした瓦を持ち込むので、現場では据え付け作業だけを行う。「他社にはない取り組みが生産性を高め、一気に売り上げを伸ばすことができた」という。
 社長就任以来の拡大路線を今後は、じっくり腰を据えた利益追求路線にシフトし、次の戦略につなげる原資にしていきたいとする。
 定期採用は20年ほど前から行っている。会社や仕事に興味を持ってもらうため、採用パンフレットを県内の大学や高校に配布するなど工夫を重ねてきた。ここ2~3年は採用数がゼロと苦戦しているが、「屋根工事の技能士集団」を志向する松澤氏は、群馬県沼田市の職人育成校、利根沼田テクノアカデミー(桑原敏彦校長)の活動に理事として参画する。
 そこから派生してフィリピンのカビテ建設業人材育成センター(CMDC)再建にも関与。その中で培った同国建設業界とのネットワークを生かした事業展開も目指し、年内に「マツザワフィリピン」を設立する。「うちの職人や協力会社に瓦屋だって海外に行けるという夢を見させてやりたい」と松澤氏は熱く語る。

(様より引用)