昇降機メーカー各社/海外事業、アジア南部が主戦場に/更新需要獲得へ体制強化

 国内でオフィスビルや住宅などの新設需要が長期的に縮小する中、昇降機メーカー各社が海外展開を強化している。世界の大手企業がしのぎを削る最大市場の中国で需要が減少局面に入り、シンガポールやマレーシア、インドなどアジア南部に事業の軸足を移す動きが顕著だ。アジア圏では1990年代に日本企業が納めた製品が更新時期を迎え、リニューアル市場が一気に膨らみつつある。
 日立製作所は昨年12月、韓国・ソウルに昇降機の販売や据え付け、保守を行う日立エレベーター韓国を設立した。高級マンションなどに納める高価格帯の製品を主力に、再開発やインフラ更新の旺盛な需要に照準を合わせる。同社は韓国以外にラオスへの拠点新設も検討しているという。
 三菱電機は昨年春、海外向け昇降機を製造するタイの拠点・三菱エレベーターアジアに、試験塔を設置し、6月から稼働させた。15年に設置したR&Dセンターと試験塔を連動させ、製品開発のピッチを上げる。
 タイをはじめとする東南アジアでは、都市部に建設される建物の高層化に伴い、中高速機種の試験・検証を行う試験塔の必要性が増大している。日本や中国と同様、老朽化した昇降機の更新への対応も急務になっている。同社はタイで製品開発・試験環境の充実を図り、そこを拠点に東南アジアの旺盛なニーズに応えていく方針だ。
 東芝エレベータは、40年近く製品を納めてきた香港やシンガポール、マレーシア、台湾などで、保守・更新需要が高まっていることから、着実に需要を取り込める体制づくりに本腰を入れている。
 世界最大の市場規模を持つ中国は、需要が踊り場に入っている。同社の松原和則社長は、メーカーが相次ぎ製品を投入し、供給過多になっている状況を踏まえ「中国市場は今後、横ばいか微減で推移する」と展望。次なる市場としてインドの注目度がより高まると見ている。フジテックの内山高一社長も「各社が軒並み生産を増強し、供給過多になっている。昨年は売り上げが減少した」と中国市場の伸び悩みを指摘。販売台数は安定しているものの、競争が激化の一途をたどる中国市場での利益率改善が急務だとしている。
 経済成長力は依然として高く、昇降機の需要が見込めるアジア市場。ただ世界の有力メーカーが競い合う厳しい環境で勝ち抜いていくのは難しい。日本メーカーが今後どのような戦略を練り、事業拡大に向けた戦術を選んでいくのか。経営手腕が問われる。

(日刊建設工業新聞様より引用)