東京・中央区/都市整備方針を転換/定住人口回復で、ホテルや生活支援施設の集積誘導

 東京・中央区は定住人口の回復にめどが付いたことから、20年以上継続してきた住宅開発誘導型の都市整備方針を転換する。今後はインバウンド(訪日外国人旅行者)などが宿泊する良質なホテル、地域に必要な生活支援施設などの集積を後押しする考え。定住型住宅を対象に容積率の緩和措置を盛り込んでいた現行地区計画の改定を検討している。改定案では住宅への緩和措置を原則廃止とする代わりに、ホテルなど区が新たに誘導したい施設で容積率を積み増す。
 3~4月に都市計画原案、5月に都市計画案の公告・縦覧をそれぞれ開始し、7月の区の都市計画審議会を経て、8月の都市計画決定を目指す。
 改定案では一部エリア(晴海地区や豊海地区など)を除き、区内を大きく三つのゾーンに分け、それぞれ容積率の緩和条件などを設定。日本橋・東京駅前地区や銀座地区で構成する第iゾーン、日本橋問屋街地区と同兜町・茅場町一丁目地区、築地地区などから成る第iiゾーン、佃、月島、勝どきの各地区で構成する第iiiゾーンに分類する。
 いずれのゾーンも、建築物の高さや壁面の位置などを規定し、街に統一感を持たせる「街並み誘導型地区計画」などを導入しているが、改定案では高度利用型地区計画を追加し、建ぺい率の最高限度や建築面積と容積率の最低限度を設ける。
 各ゾーンともに、緩和の対象を良質なホテル計画(第iiiゾーンは商業地域限定)やスーパーマーケットなどの生活支援施設や子育て支援施設、高齢者福祉施設などの地域に必要な施設に変更。開発事業者が広場や地下鉄の出入り口など、公共空間を整備する場合も容積率を積み増す。
 このほか第iゾーンは、1963年の容積地区制度の導入前に建てられ、基準容積率を超過している事務所の建て替え時も超過分を店舗や飲食店、診療所などの機能に充てれば、容積率を基準の1・2倍まで緩和し、老朽建物の更新を促進する。
 中央区の定住人口は1953年をピークに右肩下がりで減少し、97年には約7万人まで下落。区がさまざまな住宅開発の誘導施策を展開したことで、臨海部にそびえる高層マンション群に象徴されるような住宅開発が相次ぎ、定住人口は約14万人(16年時)まで回復した。今後も住宅機能を備えた再開発事業が区内で複数計画されているほか、晴海地区で整備されている2020年東京五輪の選手村が大会後に高層マンション群となることから、一層の人口増加が見込まれている。
 今後はインバウンドへの対応や、人口増に伴って必要となる生活支援施設や子育て支援施設などの集積が求められるため、区は誘導する都市機能の変更に踏み切った。

(日刊建設工業新聞様より引用)