東京都/混迷続く豊洲市場と五輪問題/関係者・事業者への影響さまざま

 東京都が抱える豊洲新市場や2020年東京五輪の競技施設の問題で、先行き不透明な状況が続いている。豊洲市場の安全性は、17年1月に出る地下水モニタリングの結果を踏まえて判断されるため、市場関係者などの不安は当面続く。五輪競技施設の建設計画の見直しでは、都の調査チームによってボート・カヌー会場の移転先候補の一つに挙げられた宮城県が、会場誘致の方針を決めた。両問題の影響は、計画が現行通りに進んでも進まなくても簡単には収まりそうにない気配だ。
 築地中央卸売市場(中央区築地)の移転先として計画された豊洲市場(江東区豊洲)の施設直下に、土壌汚染対策の盛り土がなされていなかった問題では、都が地下空間を設ける検討を主導したことを認めている。しかし、当初の説明と異なる工法の採用を決めた責任者は特定できていない。
 外部の有識者からは、豊洲市場の建築物としての構造に技術的な問題はないとの意見も出ているが、「建物の安全と都民の安心は異なる」との批判は強い。豊洲市場問題に対する都議会での追及は土壌汚染対策工事の入札の経緯にまで飛び火。5日の都議会一般質問で武市敬財務局長は、談合の事実は確認できず、「一連の経過などは公正取引委員会に報告済み」と答弁した。
 五輪の選手村が作られる臨海部と都心部をつなぐ道路として、ルートの一部が築地市場跡地を通過する計画だった都道環状2号の開通もめどが立っていない。小池百合子知事は路線を地下に通すのか、地上にするのか、複数のプランを想定しながら必要な経費や体制を検討する方針を示している。
 五輪の競技施設をめぐっては、小池知事を本部長とする都政改革本部の調査チームが建設計画の見直しを提言したことを受け、競技団体などからさまざまな意見が出ている。
 中でも、都が東京港内の水路に建設中の「海の森水上競技場」について調査チームは、宮城県登米市にある長沼ボート場への会場移設の可能性を検討すべきだとした。この提言を踏まえ、宮城県の村井嘉浩知事は12日、ボート・カヌー会場の県内移設を小池知事に直接申し出た。
 村井知事は、長沼ボート場は延長2000メートルの常設コースが8コースあり、国際大会での活用が十分可能だと強調。選手の宿泊先は登米市の南方地区(第1候補)か、造成中の長沼第二工業団地(第2候補)のどちらかに確保し、東日本大震災の被災者向けに用いた仮設住宅(1126戸、ユニット工法)をリフォームして配置するアイデアなども説明した。
 この提案に小池知事は、「仮設住宅の活用は震災の記憶を風化させないメッセージになる」と述べた。15日に現地を視察し、会場移転の是非を早急に判断する考えだ。
 建設計画の見直しが進んでいるのは都が整備を担う競技施設だけだが、小池知事は、大会総費用の縮減や費用分担のあり方などでも改善の余地があると見ている。今後の協議・調整の行方によっては、他の五輪関連施設の計画にも影響が及ぶ可能性がある。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会場整備局によると、選手村に隣接する仮設施設「ビレッジプラザ」(中央区晴海)の整備は当初計画に沿って進められる見通しという。体操競技などを行うために仮設する「有明体操競技場」(江東区有明)の入札(11月7日開札)については、「今のところ手続きに変更はない」としている。

(日刊建設工業新聞様より引用)