東京電力/福島第1原発の廃炉準備作業本格化/使用済み燃料取り出し着手へ

 東京電力の福島第1原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)で、東日本大震災による津波の影響で炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機の廃炉に向けた準備作業が本格化している。先行する3号機は、18年度の中ごろから使用済み核燃料の取り出し作業が始まる。多くの建設関連企業が現地に入り、福島の早期復興を目指して懸命の作業を続けている。
 1月30日にマスコミを対象にした合同取材会が現地で行われた。軽装備で移動できる範囲が広がった原発構内で、廃炉関連の現場や作業環境の改善状況などを公開した。
 14年12月に燃料取り出し作業が完了した4号機に続いて、同作業に着手予定の3号機。現在、鹿島らが中心となって原子炉建屋の上部でドーム型の取り出し用カバーの設置が進む。2月中に工事を終え、18年度中ごろには取り出し作業に入る見通しだ。
 東電関係者は「これまでの作業は廃炉に向けた準備段階であり、3号機の燃料取り出しを境に、ようやく本格的な廃炉作業にシフトしていく」と話す。
 震災直後の爆発で最上階の壁がすべて抜け、天井も崩落した1号機では、清水建設らによって建屋上部のがれき撤去が始まっている。撤去作業のために建屋上部は鉄骨がむき出しの状態となっており、放射性物質の拡散を防ぐ目的で、鉄骨の手前に高さ4メートルの防風フェンスを設置。周辺に飛散防止剤も散布し、安全面に十分配慮しながら作業が進む。
 2号機でも鹿島らが燃料取り出しに向けた準備作業を推進する。建屋西側に足場(構台)と前室と呼ばれる小部屋を設置済み。今後は小部屋から建屋最上部に向かう貫通部を整備し、内部調査に入る。調査結果を踏まえ、使用済み核燃料の取り出し用カバーの設計に着手する予定。1、2号機ともに2023年度をめどに取り出し作業を開始する。
 原子炉から溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しに向け、1~3号機でロボットなどによる内部調査が昨年行われた。1号機では原子炉格納容器内に自走式調査装置を投入し、地下フロアの状況を確認。2号機では圧力容器直下にあるデブリと見られる物質の撮影に成功している。3号機でも圧力容器下部の状況を事故後初めて確認できた。
 一連の調査で得られた情報などを基に、東電は19年度にデブリ取り出し方法を確定させ、21年中に作業を始めたい考えだ。
 原子炉建屋への地下水の流入を抑制する陸側遮水壁(凍土壁)の構築では、16年3月から段階的に凍結作業を実施。東電によると、想定部分は0度を下回っている状態を維持しているという。3月にも凍土壁の評価を取りまとめる。
 現場で働く人々の作業環境も大きく改善している。原発構内では建屋周辺を除く95%のエリアで、防じんマスクや一般の作業服といった軽装備での作業が可能だ。
 廃炉事業を担当する東電幹部は「福島第1を普通の現場にしていこうという思いがある。作業している人々が安心して働けることはもちろん、避難者が帰還を検討する際にここが邪魔にならないようにしたい」と話している。

(日刊建設工業新聞様より引用)