東日本大震災から6年/被災3県の復興事業、終盤戦に/ポスト復興見据えた施策へ転換

 東日本大震災発生から明日で丸6年。東北沿岸では、マグニチュード9・0の激震と最大遡上高40メートルの津波が残した深い傷跡を修復する復興事業が今なお行われている。被災地では今月、震災後に着手した復興道路の一部区間や大船渡港の湾口防波堤整備、阿武隈川河口部の復旧工事など基幹事業が相次ぎ完成。震災の記憶と教訓を伝えるため、岩手・宮城両県に設ける復興祈念公園の造成も始まった。複数の復興工事が佳境から終盤へと差し掛かる中、行政や企業はポスト復興を見据えつつ、復興の総仕上げに全力を傾ける体制に入った。
 2月下旬までに出そろった東北6県と仙台市の17年度当初予算案では、6県すべての一般会計が前年度当初の規模を割り込み、投資的経費は岩手を除く5県と仙台市が前年の額を下回った。
 6県のうち被災3県の復興関連経費は軒並みピークを越え、いずれも2桁台の大幅減となった。このことは、復興事業が大きなヤマ場を越え終盤戦に差し掛かったことを示唆している。
 □ソフト重視へ軸足□
 被災3県のうち宮城県の村井嘉浩知事は、先月行われた予算発表の記者会見で、来年度以降、ハード重視からソフト重視へ軸足を移す考えを明示した。
 被災者の生活再建を優先する方針は変えないものの、医療や保健、福祉などの分野にも重点投資する考えを強調した。
 岩手県の達増拓也知事も同じく予算発表の記者会見で、震災と台風10号からの復興に向けたハード整備を最優先しつつ、被災者の心のケアやコミュニティー再生、若者・女性が活躍できる環境整備などソフト対策を拡充する方針を示した。
 一方、原発事故の余波が続く福島県では、近く浪江町など4町村の避難指示が解除され、住民が避難先から故郷に戻る準備が整う。国や県らは引き続き放射性物質の除染や帰還住民の住居確保など、休眠していた地域の再生に取り組む。
 放射性物質への不安が残る中、どこまで住民帰還が進むかは未知数だが、同県の原発周辺では今後、岩手・宮城両県の被災地にやや遅れてインフラ整備の需要が生じる可能性もある。
 □宮城県ー185地区で造成完了□
 被災3県のインフラ整備の進ちょくはどうか。
 宮城県では防災集団移転促進事業が合計195地区で計画された。特に計画数が多いのは石巻市(56地区)、気仙沼市(51地区)、南三陸町(26地区)、女川町(22地区)など。
 これらのうち全体の95%に当たる185地区での造成工事(基盤整備)が1月までに終わり、住宅の建築工事が始まっている。
 土地区画整理事業の計画地区数は34で、名取市の1地区を除く33地区で造成工事が動く。計画地区数の約68%となる23地区で事業が完了している。
 県内に計画される災害公営住宅は合計1万5950戸。うち1万4863戸が着工、1万2915戸が完成した(完成率81%)。
 □岩手県ー公営住宅は75%完成□
 岩手県の防災集団移転事業の計画数は合計88地区。このうち75地区で造成が完了し、残りの13地区で造成工事が進行している。
 土地区画整理事業は全体計画19地区のうち4地区で事業が完了。災害公営住宅は全体計画5694戸のうち、4297戸が完成(完成率75%)。施工中の戸数は10%となっている。
 □福島県ー8地区で区画整理施工□
 福島県内では、いわき、新地、浪江、富岡、楢葉の7市町・合計49地区で防災集団移転事業が計画されている。
 2月末までに44地区で造成が完了。帰還住民や被災者を迎え入れる住宅建設が始まっている。
 震災復興土地区画整理事業は新地町、いわき市、富岡町の3市町・合計8地区(合計面積177ヘクタール)で計画。全地区が施工中で、完成した地区は現時点でない。
 災害公営住宅は全体計画4890戸のうち、3239戸が完成した(完成率66・2%)。同県内の市町村で最も整備戸数が多いのは、原発周辺などから多くの避難住民を受け入れているいわき市で、合計1768戸を建設する計画。これまでに648戸の住宅が完成した。

(日刊建設工業新聞様より引用)