東日本大震災から7年/「実感できる復興」へ全力/復興後見据え経営の在り方模索も

 東日本大震災から11日で7年。この間、被災各地では復興に向けた取り組みが着実に進展してきた。復興・創生期間(16~20年度)の中間年に入る18年度、政府は「実感できる復興」(石井啓一国土交通相)を目指し、住まいや街づくりを含め残された事業の総仕上げに全力を傾ける。一方、被災地では工事発注量が減少に転じており、建設業を中心に今後を見据えた企業経営の在り方を模索する動きも出始めている。=3、6、10面に関連記事
 「復興のシンボル」と位置付けられる総延長500キロ超の復興道路・復興支援道路は昨年末時点で、全体の9割が開通または開通見込みとなった。震災後に新規事業化された約220キロのうち、山田宮古道路(岩手県山田町~宮古町、14キロ)が昨年11月、震災後に事業着手した区間で初めて開通した。
 国交省は道路などの基幹インフラと併せ、住宅再建に向けて各地域の実情をきめ細かく把握し、復興をさらに加速させる方針だ。円滑な施工を確保するため、昨年12月の復興加速化会議で石井国交相は、土木工事の積算を割り増しする「復興係数」の継続を表明。公共工事設計労務単価の上乗せ措置なども続ける。
 同会議では東北地方整備局が「働き方・人づくり改革プロジェクト」の実施を表明。ICT(情報通信技術)施工の未経験者をサポートする「チャレンジ型工事」の試行、女性・若手技術者の登用促進などを一体的に進め、担い手確保と復興加速の両立を図る。
 □福島復興へインフラ整備着々□
 福島第1原発事故の影響で復興の足取りが遅れていた福島県でも、基幹インフラ機能や生活再建拠点の整備などが始動している。
 基幹インフラのうち高速道路は、東日本高速道路会社が常磐道の暫定2車線区間のうち、福島県側の「いわき中央インターチェンジ(IC)~広野IC間」(約27キロ)と、宮城県側の「山元IC~岩沼IC間」(約14キロ)の4車線化事業を推進中。広野IC~山元IC間は6カ所で付加車線の設置を計画する。4車線化と付加車線設置は20年度までの完成を目指している。
 鉄道では、JR東日本による沿岸被災線区での復旧作業が進む。現在までに約224キロの営業運転を再開、約99キロの区間でBRT(バス高速輸送システム)を運行している。工事中は山田線の宮古~釜石(約55キロ)と常磐線の富岡~浪江(約21キロ)の2区間。山田線は三陸鉄道に経営を移管し、18年度中の営業運転開始を予定。常磐線の残る区間も19年度末までの運転再開を目指す。
 街づくりに目を向けると、都市再生機構は大熊、双葉、浪江の3町で新たな市街地整備に本腰を入れる。避難住民が帰還した際の生活や地域経済の拠点を再建する「福島復興再生拠点整備事業」は初弾が昨秋に大熊町、第2弾が1月に双葉町で起工した。
 政府も福島県の復興支援に一段と力を入れる。昨年の通常国会で福島復興再生特別措置法を改正し、同5月に施行。職住機能を集約させる「特定復興再生拠点区域(復興拠点)」の形成推進を新たに位置付け、この計画を政府が認定する。本来は市町村が行うインフラ整備を国交省や農林水産省が直轄事業として代行。除染は全額を国費で賄い環境省が行う。これまでに3町(双葉、大熊、浪江)の復興拠点形成計画を認定した。
 吉野正芳復興相は福島復興に向けて「(20年度末以降も)国が前面に立って支援する」と表明。20年度末までの時限措置で設置している復興庁は、今年から後継組織の必要性や在り方などについて、原発周辺の市町村に聞き取り調査を始めた。
 □被災地のため業界も全力□
 建設業界も引き続き一致団結して復興に当たる。東北建設業協会連合会(東北建協連、千葉嘉春会長)ら建設関連5団体は9日、仙台市内で震災の教訓などを発信するフォーラムを開催。「がんばろう東北!」を合言葉に、安全第一に復興工事を加速させる決意を「東北からのメッセージ」として発信する。
 こうした中、復興が進んだ地域では公共事業量の減少が顕在化し始めている。被災3県で東日本建設業保証が前払金保証を扱った工事などの請負金額は11年度に5578億円。復旧復興の進行に伴い15年度は2兆3502億円(11年度比321・3%増)に達したが、16年度には2兆1479億円と減少に転じた。「復興は道半ば」(千葉東北建協連会長)ながら、工事発注はピークを過ぎたことがうかがえる。
 既に工事量が激減した地域もあり、震災前の経営体制への移行を模索する社は少なくない。全国規模で事業展開するゼネコンも経営資源を移しつつある。大手建設コンサルタントは岩手、宮城両県から、街づくり業務などの発注が本格化する福島県に人材をシフトする動きもある。
 「M&A(企業合併・買収)のダイレクトメールがひっきりなしに届いている」。ある経営者は被災地の建設会社の現状をこう説明し、復興後の在り方を課題に挙げる。
 震災復興を通じて、地域の持続可能な発展に向けた道程をどう描き実践していくのか。行政機関や建設関連の団体・企業の取り組みは今後も続いていく。

(日刊建設工業新聞様より引用)