東鉄協/法定福利費確保、依然厳しく/労務状況報告、「担い手確保」の目的見失うな

 社会保険料の原資となる法定福利費の確保をめぐり、専門工事業者の間に窮状を訴える意見が出ている。東京都鉄筋業協同組合(東鉄協、館岡正一理事長)が19日に都内で開いた総会後の労務状況報告で、法定福利費の支払いに応じないゼネコンの存在を指摘する会員企業が相次いだ。
 東鉄協は、社会保険を完備した魅力ある鉄筋工事会社として、若い担い手を確保しようと、会員企業に加入を促してきた。未加入の下請業者や作業員の現場入場を制限する国の措置と、それに呼応した日本建設業連合会(日建連)の加入促進策に伴い、会員企業の対応も活発化。「加入は下請を含めてほぼ100%」(経営トップ)という会員企業も少なくない。
 窮状を訴える意見が出た背景には元請のゼネコンの対応がある。ある会員企業のトップは「(法定福利費の)支払いに前向きなゼネコンでも現場の担当者によって対応が異なる」と指摘する。「1日30人分、1人当たり4000円足りない」。別の会員企業のトップはある現場の状況をこう説明し、原資を確保するために元請業者と激しい交渉を続けていることを明かした。
 会員企業の多くは技能者の社員化にも力を入れてきた。会合は、ある企業のトップは「事業主の負担分を継続して払わなければならない。せめて下請業者分の原資の確保を先行しないと」と課題を指摘。「(単価に)組合としてタッチできないか」と、需給バランスなどから各社が見込んでいる他社への応援単価をはじめ、単価設定への組合の関与を求める意見も出た。
 東京地区は2020年東京五輪関連施設や大型再開発などで建設需要が拡大。鉄筋工事を伴う大型工事の本格化を控えるが、足元では仕事が少なく、埼玉などに応援に行っている会員企業もいる。
 「誰のための社会保険加入か。若い担い手を迎え入れ、20年、30年と仕事を続けるためだ。一つ一つの現場でゼネコンから法定福利費を頂くことに尽きる。労務単価のダンピングはあってはならない」。東鉄協の幹部は労務状況報告をこう総括。別の幹部も「担い手を確保するという目的を見誤ってはならない」と指摘した。

(日刊建設工業新聞様より引用)