清水建設、太平洋マテリアル/水中不分離性モルタル共同開発/原子炉格納容器補修向け

 清水建設と太平洋マテリアル(東京都江東区、後藤俊朗社長)は、東日本大震災で事故を起こした福島第1原子力発電所の原子炉格納容器にある漏えい箇所の補修関連技術として、水中不分離性モルタルを共同開発した。サプレッションチェンバー(圧力抑制室)内の損傷箇所への止水材打設後に想定される重量増加に対し、圧力抑制室を支える脚部を水中不分離性モルタルの打設によって耐震補強する。約200メートルの圧送に耐える流動性を持つのが特徴だ。
 原子炉建屋の地下には、溶け落ちた核燃料を冷やすために注入した水が汚染水となってたまっている。そのため、圧力抑制室を支える脚部をモルタルで補強しようとすると、水中施工が必要にある。さらに、放射線量の関係で原子炉建屋から離れた位置にミキサーやアジテーターを設置することから、長距離圧送が可能な流動性を持ち合わせなければならない。
 今回開発した水中不分離性モルタルの圧送可能距離は約200メートル。まず、原子炉建屋近傍に設置した圧送用ポンプで、100メートル程度先にある中継ポンプと呼ばれる加圧装置まで圧送。そこから再加圧して、圧力抑制室直上に当たる建屋1階に設置した打設装置までの約200メートルを圧送する。
 建屋にあらかじめ開けておいたホースを通すための穴から、干渉物を避けながら室内下部にまでホースを下ろして打設する。試算では、1号機の脚部の耐震補強に必要なモルタルの量は1800立方メートル。圧送には10時間程度を要するという。
 原子炉格納容器にある漏えい箇所の補修技術については、技術研究組合国際廃炉研究開発機構(IRID、剱田裕史理事長)が取りまとめ役を務め、東芝や日立GEニュークリア・エナジーらと開発・実証試験を進めている。今回、清水建設と太平洋マテリアルが開発した水中不分離性モルタルは、IRIDが想定する補修工程の一部を担う要素技術として活用が見込まれている。
 IRIDと日立GEニュークリア・エナジーは29日、福島県楢葉町にある楢葉遠隔技術開発センターで、圧力抑制室の脚部補強に関する模擬試験を行った。試験では、モルタルではなく水を使い、高放射線量下での作業を想定したホースの設置や下準備などの作業を行った。実際のモルタルを使った試験は17年夏にも行われる予定。

(日刊建設工業新聞様より引用)