清水建設/阿蘇神社復旧工事(熊本県阿蘇市)で楼門解体作業が大詰め

 昨年4月の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県阿蘇市の阿蘇神社で、国指定重要文化財の復旧工事が清水建設の施工で進んでいる。全壊した楼門の解体作業は、上層部の解体と部材の格納が終わり、下層部の材料の解体が進行中。現場代理人の川原裕貴熊本営業所工事主任が「再建工事で再利用するため、どこの部材なのかパズルのように組み合わせながら特定するのは大変」という解体作業では、宮大工の手作業により慎重に取り出しが進んでいる。
 清水建設が施工する「重要文化財阿蘇神社一の神殿ほか5棟保存修理工事(災害復旧)」の対象となるのは、1840年から1850年にかけて建てられた楼門、一の神殿、二の神殿、三の神殿、環御門、神幸門の6棟。いずれも木造で、総延べ床面積は881平方メートル。全壊した楼門を解体・調査し、そのほかの5棟は部分解体・修理を行う。設計・監理は文化財建造物保存技術協会が担当する。
 解体作業が進む楼門は、日本三大楼門の一つに数えられ、二重門として九州最大規模を誇る。昨年10月に始まった工事では、昨年末までに楼門を覆う素屋根を建設し、年明けに解体を開始した。
 重文のため、造営当時の姿に戻すこと、伝統構法を踏襲すること、できるだけ元の部材を再利用することが求められている。そのため、解体した材料は、損傷状況を調査しながら再利用可能か、どこの部材なのかを判定し、境内の保存格納庫に保管している。
 上層部の解体中は、入母屋造りの屋根の構造部材となる長さ11メートルの8本の隅木など、1トンを超える材料が見つかり、素屋根中央部を開閉可能なカーテン式に変更。必要に応じてクレーンを投入しながら作業を進め6月にほぼ解体を終えた。
 現在解体している下層部には、屋根など大型の構造部材が多かった上層部とは異なり、天井や欄間などの細かな部材がばらばらに散らばっている。その一つ一つを継ぎ合わせ、継ぎ目の年輪の形状などからどこの部材かを判断する必要がある。
 9月末時点で、高さ18メートルの楼門の7割ほどの部材を取り出し終えた。だが、作業に当たる藤田社寺建設の與那原幸信棟梁も「同じような形の材料が多く、どの部材かを判断するのは難しい」と話すように、今後も難しい作業が続く。
 阿蘇神社では重文6棟のほかにも拝殿が全壊するなどの被害が出た。それらを含めたすべての復旧を2022年度までに完了することを目指している。
 三つの神殿の復旧は来年度中に終える見込み。楼門解体は先が見えづらいが、川原工事主任は「手順を踏み外さず、一つ一つの部材をしっかりと復元できるように作業を進める」と力を込める。

(日刊建設工業新聞様より引用)