漁港建協/作業船位置・回航情報システム運用開始/災害対応迅速化、生産性10%向上

 全日本漁港建設協会(長野章会長)は、「作業船位置・回航情報システム」を来春から本格運用する。作業船の位置情報などをクラウドシステムで管理し、災害時の物資輸送や応急復旧に生かす。回航履歴を第三者が証明する機能があり、設計変更協議にも役立つとみている。長崎県などと試行運用しており、17年2月の協議会で細部を詰め本格運用に移行。他の自治体にも利用を促す。
 システムは、作業船に取り付けたデータの発信装置から届く位置情報を管理し、位置や過去の航路を表示する「作業船位置情報システム」と、過去の航路を閲覧できたり、回航履歴票を出力できたりする「回航情報システム」で構成。作業船の現在地、回航地とともに降水量、波高、風速といった気象情報も入手できる。IDとパスワードでアクセスし、IDによって閲覧可能な情報を制限する。
 災害時などに作業船の位置情報を会員企業と発注機関で共有でき、離島・半島地域への救難物資の輸送や、応急復旧工事といった緊急対応が迅速に行えるようになる。発注者は公告・入札・工事などに必要な回航情報を取得できる。作業船の運用が効率化されるとともに、工事計画書の作成や調達業務もスピードアップし、生産性が10%以上は高まるという。
 荒天時の避難などを含む回航履歴には、中間団体として漁港建協や地域の港湾漁港建設関係の協会が証明書を発行することで、透明性と客観性を確保し、設計変更などに利用できるようにする。システムの維持運営に伴う通信費やサーバー代などの費用は、発注機関に回航費を適正に計上してもらえれば賄えるとみている。
 システムの構築に当たっては、「長崎県沿岸域まち・ひと・しごと創生(防災安全)推進事業協議会」を組織し、水産庁や学識者の協力を得ながら、長崎県や長崎県港湾漁港建設業協会、同県市町村の漁港漁村担当部局などと作業を進めてきた。ITで生産性を高める総務省の助成措置を利用しつつ、漁港建協も費用を負担した。
 17年2月の同協議会の会合で運用方式、維持運営費、設計変更に伴う申請書・手続きなどを詰め、当初は35隻に発信機を設置し、長崎県沿岸で運用する。漁港建協は災害協定の締結と合わせてシステムの普及を自治体に働き掛ける。

(日刊建設工業新聞様より引用)