熊本地震から1年/熊本建協・橋口光徳会長に聞く/使命感持ちつつ適正利潤で復旧対応

 16年4月の熊本地震発生後、熊本県建設業協会(橋口光徳会長)は被災者の支援や応急復旧などの活動に会員の総力を挙げて取り組んできた。発災から1年を迎え今後は市町村の災害復旧事業が本格化し、県内建設業者には早期の復旧・復興を実現するための中心的な役割が期待される。橋口会長に応急復旧後の対応や当面の課題を聞いた。
 --応急復旧後の協会の取り組みを。
 「宮城県建設業協会に東日本大震災の経験を踏まえアドバイスを頂き、意見交換もして随分プラスになった。その成果や国会議員、県議会、県などの努力もあり復興係数・復興歩掛かりはわずか9カ月ほどで導入された。ほかにもしなければいけないことがたくさんあり、それらを一つ一つ積み上げ、やっと年明けに『オール熊本』で県内建設業者が復旧・復興に参画しやすいよう、地方自治体の受注環境を整えてもらったところだ」
 「国の出先機関や県、市町村、建設業団体が参加する連絡会議などで発注ロットの拡大や余裕期間制度の活用と工期の延長、円滑な設計変更などを要望してきた。県は復興JV制度の導入や地域要件の見直しなど入札制度を改善するとともに、市町村との意見交換会で優先順位を付けた発注や工事の平準化、適正な設計変更など円滑な施工体制の確保に向け蒲島郁夫知事が異例の要請を行った」
 「われわれの要望を受け、災害復旧工事の本格化に伴い工事契約をスムーズに行えるよう、県は金融機関に対して災害復旧工事の受注業者のための融資などの支援も要請した。西日本建設業保証は災害復旧関係の工事はすべて契約保証する方針だ」
 --当面の課題は。
 「建設業界、行政、政治がちゃんとかみ合った話をでき、金融機関なども含めた『オール熊本』で復旧・復興に取り組める態勢ができた。現在は遠隔地から労働力や資材を調達する際の設計変更手続きの簡素化や迅速化を求めている」
 「受注環境は整い、制度面のフルモデルチェンジをしてもらったが、それがスムーズに動くかどうかは分からない。今後は使い勝手の良くない制度があれば、走りながら、年度の途中でもマイナーチェンジしていくしかないと思っている。市町村の対応に関しては引き続き県の指導力に期待している」
 --建設業界として今後の復旧・復興で大切なことは。
 「入札の不調・不落が増えており今後も相当な件数が出てくると思うが、さほど課題とは思っていない。一時的な人手不足は時間が解決するだろう。赤字工事で受注されないのなら条件を見直せばいい。原因をしっかりと分析することが大事だ」
 「災害復旧はあくまで特需だ。そのことを再認識し、災害復旧が終わった時にどうするかを各企業は考えておかなければならない。過去に震災を経験した地域で赤字工事による倒産などで建設業者の数が減った地域があると聞くが『終わりの始まり』になってはいけない。使命感を持ちつつ、将来を見据え経済ベースで災害復旧に取り組むことが、われわれ地域の建設業界が地域に根差した安全・安心の担い手であり続けるために重要だと思っている」。

(日刊建設工業新聞様より引用)