熊谷組、東京メトロら/既設地下構造物の変形抑制技術開発/新設トンネルからけん引

 熊谷組は、東京メトロと鉄道総合技術研究所と共同で、シールドトンネルなど既設の地下構造物の変形や変位を抑制する新技術を開発した。変形や変位の発生が想定される地下構造物の上部または側部にトンネルを造り、そこからけん引して変形や変位の進行を抑制する。構造物内部からの補強工事が難しい供用中のトンネルなどに有効という。
 開発したのは、「サスペンションシールド工法」と呼ぶ技術で、つり橋を地中に構築するイメージ。シールドトンネルの場合、まず変形や変位が発生する可能性のあるシールドトンネル近くに、つり橋で主塔に当たる立坑を設置する。
 立坑を利用し、つり橋のケーブルの役割を果たすシールドトンネルを建設する。既設トンネルと新設トンネル双方に補強部材を設置。新設トンネルから削孔を行い、けん引部材を設置する。
 新設トンネル内に親ケーブルを通し、親ケーブルと補強部材を連結部材で接続した後、けん引用のジャッキを設置する。けん引力を調整することで、既設構造物の変形や変位量を自動で制御できるという。新設するトンネルは外径3メートル程度、けん引する長さは2メートル程度を想定している。
 既設トンネルを内部から補強する方法に比べ、既設トンネル内の工事占有スペースを大幅に減らせる。既設トンネル内の作業が減るため、供用中の支障が少なくて済む。内部補強ができないケースにも適用可能で、将来的な変形や変位リスクへの予防保全対策として有効となる。
 3社共同で特許出願中で、18年中に特許を取得できる見通し。シールドトンネル以外の地下構造物への適用や近接施工の影響の予防などへの応用も検討していく。潜在する需要を開拓し、都市部の地下に集中するさまざまな構造物の変形や変位を予防する技術として売り込んでいく。
 軟弱地盤内に建設されたトンネルは、地盤の圧密により鉛直荷重が増加し、縦断方向に長期的な変形が発生する可能性がある。軟弱地盤以外でも、後から施工された近接構造物の影響で変形や変位が発生する場合がある。供用中のトンネル内のスペースを使う範囲を最小限に抑えると同時に、トンネル内の作業量を少なくすることを優先するため、これまでにない「外部からの措置」を考えたという。

(日刊建設工業新聞様より引用)