熊谷組/VR活用の風環境可視化システム開発/立体的に把握、ビル風対策に有効

 熊谷組は14日、VR(仮想現実)技術を活用したビル風の可視化システムを開発したと発表した。数値流体解析により建物周辺の風速や風向のデータを取得し、それを基にVR空間で風の流れを視覚化する。本来は見えない複雑な風の流れを立体的に捉えられ、ビル風の原因が正確に把握できるようになる。
 可視化システムは、頭部に装着して映像を映し出すウエアラブル端末を活用する。風が吹いている方向を視覚的に理解できる。端末装着者はコントローラー操作でVR空間を自由に移動できる。
 風の強弱を色分けして認識しやすくするとともに、風向きや視点も切り替えられる。複数の人が同じ空間を同時に体験できる。ビル風対策の立案や対策の効果確認、顧客へのプレゼンテーション、合意形成などへの適用を想定している。
 流体解析ソフトの種類にかかわらず、VRで風の流れを可視化できるようにしたのが特徴。端末機には、持ち運びが容易なサムスン電子製の「Gear VR」を採用する。システム価格は1セット当たり約8万円前後。
 東京都新宿区の本社ビル周辺をモデルにシステムの有効性を確認した。専門知識を持たない人でも、「どこでどのように風が流れるのか」「強い風・弱い風がどこで吹くのか」などを視覚的に捉えられるため、強風による事故防止の注意喚起ツールにもなる。
 今後、観測データと組み合わせたリアルタイムの風環境の可視化やAR(拡張現実)・MR(複合現実)への拡張、オンライン化など機能の追加を検討していく。同社が開発技術にVRを導入するのは初めてで、温度の可視化などニーズに合わせて活用範囲を広げていく。
 ビルが建設されることによって風環境が変化するため、計画段階に形状の工夫や樹木の配置などの対策が欠かせない。従来は実測や風洞実験、流体解析などで風の流れを捉えていたが、全体像を把握しにくく、適切な対策を講じることが難しかった。

(日刊建設工業新聞様より引用)