社整審・交政審小委/地下空間利用の安全技術で答申案合意/官民で地盤情報を共有

 多発する道路の陥没事故や、福岡市の地下鉄延伸工事現場で16年11月に発生した大規模な陥没事故を受け、地下空間の利用に伴う安全技術について議論してきた国土交通省の学識者委員会(大西有三委員長)は4日、対策を盛り込んだ答申案を大筋で了承した。官民による地盤情報の収集・共有、地盤のリスクアセスメント手法の整備、地質調査を行う公共工事での関係資格の活用などを国に求めた。
 社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)と、交通政策審議会(交政審、同)合同の「地下空間の利活用に関する安全技術の確立に関する小委員会」が議論してきた。
 答申案は、地下空間の利用を進めるための対策として、安全技術や取り組みの方向性などを複数列記した。講じる対策の順序や重要性を整理した上で近く最終決定し、両審議会への報告、審議を経て、諮問した石井啓一国交相に提出される。
 答申案に対策として挙がったのは、▽官民が所有する地盤・地下水などに関する情報の共有化▽計画・設計・施工・維持管理の各段階での地盤リスクアセスメントの実施▽地下埋設物の正確な位置の把握と共有化▽施設管理者による老朽化状況の把握と対策の実施、関係者の連携▽安全に関わる技術開発。
 地盤・地下水の情報は、収集・共有・利活用する仕組みを国が構築することを明記し、対象はボーリング柱状図、N値、土質試験の結果、物理探査のデータ、地下水の計測深度など収集できるものすべてとした。
 公共工事では調査、設計、施工など各段階で情報の収集・共有を徹底し、地質調査を伴う工事では競争参加資格となる配置予定技術者に地質調査技士などの資格要件を原則として付与するよう提案。地盤リスクアセスメントは関係技術の体系化や手続きを学会などと連携して整理し、技術的手法として確立するよう求めた。
 国には地下埋設物の正確な位置情報を把握・記録・共有する仕組みと、位置情報を修正する仕組みの構築、全国の地下空間にある公共施設などの維持管理状況のデータベース化、液状化しやすい地域を推定する技術の開発などを要請。過去に起きた事故の教訓の共有化と地盤のリスクの低減に努めることも促す内容となった。
 答申案については、同日の会合で、法制化を含めて民間が保有する情報を慎重に扱うことや、地盤情報が公共工事のコストに影響することへの言及を求める意見が委員から出た。答申案への反映は、大西委員長に委ねられており、修正を待って、社整審・交政審技術分科会に報告される。

(日刊建設工業新聞様より引用)