福井大雪/建設会社奔走、「地域の守り手」再認識/広域連携の体制整備急務

 「地域の守り手」という建設業の役割が再認識されている。日本海側を中心に記録的な大雪に見舞われている今冬も、建設会社は各地で排除雪に奔走。多くの車両が長期間立ち往生した福井県では、国土交通省の呼び掛けで県外から集まった建設業関係者と重機が自衛隊などの活動を支援し、その活躍を高く評価する声が挙がった。一方、地域建設会社の対応には限界が見え始めており、広域災害への備えのあり方が改めて問われている。
 国交省近畿地方整備局は、福井県での排除雪の対応をまとめた14日の記者発表資料の副題を「除雪作業に活躍する建設業」と銘打った。「昼夜を問わず作業を進める地元を中心とした建設業者の様子を伝える報道がほとんどない。ぜひ建設業者に光を当ててほしいと思った」。近畿整備局の担当者は副題に込めた思いを説明する。作業が遅かったり、狭い道路区間があったりしたことを指摘する報道が目立ったためだ。
 福井、石川の両県をつなぐ国道8号は、福井市で37年ぶりに最深積雪が1・3メートルを超えた大雪の影響で、6日から約1500台の車両が立ち往生し、解消まで3日かかった。国交省によると、14日時点で福井県内の国道や県道の除雪はおおむね完了したが、福井市や鯖江市の市道には今も車両走行が難しい区間が多く残り、住宅の屋根から下ろした雪の排除も追いついていない。
 福井県内の除雪では国交省が県外の建設会社にも対応を要請。14日時点で集まった延べ約170台の除雪機械と約260人のオペレーターが、排除雪作業に当たっている。降雪のピークだった7、8日には日本建設業連合会(日建連)の会員企業が約130人を派遣し、手作業で道路に積もった大量の雪を取り除いた。
 福井市は、市内の建設会社約250社と除雪作業の協力協定を結んでいる。だが、協定締結業者は5年前より約25社減少。除雪機械、人員とも不足し、昼夜敢行の排除雪に十分な交代要員を確保できなかったという。重機を自前で調達し、建設会社に貸与する自治体は少なくないが、高齢化によって絶対数が減っているオペレーターの確保は難しさを増している。
 国交省は他県の業者に対応を呼び掛けた。だが、ある地域建設会社の経営トップは「こちらの雪が少なかったから派遣できた。除雪を含む建設機械と人員の維持に必要な事業量が下回り、余力はない」と指摘。除雪を含む災害への対応力の不足に危機感を募らせる。
 排除雪は路線を熟知したオペレーターでないと二次災害の危険が生じる。今後、福井市は若手とともに、豊富な経験と高度な技術力を併せ持つ地元のオペレーターの確保・育成策を検討するという。その前提として国交省は、地域建設会社の安定経営の必要性を強く認識しており、現在も行われている工事入札での地元業者の加点評価といった支援策が、これまで以上に必要だと指摘する。
 気象庁が8日に発表した3月中旬までの天候見通しによると、北日本や東日本の日本海側はこの先も強い寒気が流れ込み、大雪に見舞われる可能性が高いという。排除雪に対応できる地元建設会社の確保が急務になると同時に、災害に広域的な連携で応じる体制の整備は欠かせない。ある建設関係団体の幹部は「広域の防災協定を結び重機や人員を官民が融通する仕組みも必要だ」と指摘する。

(日刊建設工業新聞様より引用)