竹中工務店/高速電力線通信要素技術を開発/仮設電力線利用、現場のIoT環境向上

 竹中工務店は6日、建設現場の仮設電力線から安定したネットワーク環境を簡易に構築できる要素技術を開発したと発表した。分電盤にフィルターを最適に配置する回路構成を考案し、高速電力線通信(PLC)を可能にした。作業所で行った実証実験で、フィルターのない従来手法に比べ、約6倍の通信速度を確認しており、施工現場へのIoT(モノのインターネット)やICT(情報通信技術)の導入加速に役立てる。
 近年は、人手不足の解消や生産性の向上を目的に、施工現場のIoT化が注目されている。通常は、施工中の現場にIoTやICTを使用できる無線LAN環境は整備されていない。高層階や地下、トンネル内など、セルラー通信の電波が届かない環境もある。
 そこで同社は、施工現場の仮設電力線を利用することで、新たな通信線の配線が不要で、無線の不感場所にも利用できるPLCに着目した。
 PLCは、電力(交流電源)に高周波の通信用信号を加えて伝送し、電力線を通信ケーブルとしても利用する技術。施工現場でPLCを使用する場合、分電盤に設置された漏えい遮断器の影響や分電盤のコンセントに職人が使う電動工具などをつなげる負荷の影響により、PLCの信号が大きく減衰するため、施工現場での普及は進んでいない。
 この課題を解決するため、独自のフィルター技術を開発した。電源線と漏えい遮断器がフィルターを介して接続されるため、漏えい遮断器の影響と電気機器の影響を同時にカットでき、PLCの信号を減衰させる影響を大幅に低減できるようになる。
 今後、同社が所有する分電盤の3分の1をPLCと新開発のフィルターを内蔵した分電盤に置き換えていく。対象は2000台規模になる見込み。
 PLC技術による安定したネットワーク環境を利用し、360度カメラの映像をリアルタイムに配信する建設現場のモニタリングシステムを構築した。従来のセルラー通信を使った無線監視カメラとは異なり、無線通信コストがかからないため、数十個規模のカメラを仮設電力線につなぐだけで低コストで使用できる。
 東京都内の作業所でシステムの実証を進めている。映像はi-Padやパソコンのブラウザーでいつでも確認することが可能。自動でクラウドサーバーに保存され、施工記録の管理やエビデンス(証拠)の確保にも有効という。

(日刊建設工業新聞様より引用)