米大統領戦でトランプ氏勝利/建設関連企業、北米事業に影響は?/本社調査

 米大統領選で共和党候補ドナルド・トランプ氏が勝利し、15日で1週間になる。日刊建設工業新聞社は、北米に拠点を構えるゼネコンなどに現地での事業活動への影響について緊急アンケートを行った。
 アンケートは、大林組、鹿島、清水建設、大成建設、竹中工務店、LIXIL、TOTO、太平洋セメント、コマツ、キャタピラージャパンを対象に実施した。
 大林組は、1972年に大林アメリカコーポレーションを設立。北米では79年に日本の建設会社として初めて米国の公共工事を受注して以来、数多くのプロジェクトに参画している。
 積極的なM&A(合併・買収)が特徴で、67年にEWハウエル社、07年にウェブコー社、11年にケナイダン社(カナダ)、14年にクレマー社を傘下に収め、民間建築や橋梁、道路などの土木工事に注力する。
 16年度の海外売上高は4155億円(15年度4088億円)を見込み、過去最高を更新する見通し。北米の売上高比率は、14年度が59億10百万円、15年度が65億80百万円。「影響については、現時点では判断できない。今後の動向を注視する」と回答した。
 海外売上高の半分を占める北米を最重要地域と位置づける鹿島は、1964年にロサンゼルス市「リトル・トーキョー」の再建・美化の要請に応えるため、初の海外現地法人を設立し、本格的に進出した。その後、86年に米国統括現地法人KUSAを設立し、現地企業のM&Aを基礎にした開発・建築事業を手掛ける。
 KUSAの業績は、14年度は受注高1931億円、売上高1935億円、経常利益40億90百万円、15年度は受注高2799億円、売上高2061億円、経常利益56億90百万円。「北米で長年にわたり事業を展開しており、新大統領には米国経済の活性化とともに、現在の良好な日米関係を維持・発展させる政策の実行を期待する」とコメントした。
 清水建設は、1981年にシミズ・アメリカ社を設立し、米国で建設事業や不動産投資事業に着手。93年にシミズ・コーポレーション・デ・メヒコ社を設立し、メキシコでの建設事業をスタートさせた。
 2007年には、この2社を合わせたシミズ・ノースアメリカ社を設立し、北米での事業を展開している。日系企業発注の生産施設などが中心で、「受注高は13年が136億円、14年が158億円、15年が327億円と緩やかに上昇傾向にある。米国での不動産投資事業を久しぶりに再開した」(同社)という。海外事業量の10%程度を北米が占め、注力・拡大対象の重要拠点と位置づける。
 現在は子会社を含め、北米で仕事をしていない大成建設は、「影響がないとは思っていない。まだどうなるか分からないため、動向を注視している」とのコメントを寄せた。
 1990年から拠点を持つ太平洋セメントは現在、3工場で年間約500万トンのセメントを生産している。「インフラの老朽化はトランプ氏就任に関係なくこれまでも指摘されていた。就任に伴いインフラ投資が不透明化し、投資規模・期間が分からずコメントしづらい」と回答した。
 キャタピラージャパンは、北米に本社があり、北米で売上高、従業員の約半分を占める。「政権移行チームが発足したばかりということもあり、今後の議論の動向を注視したい」とコメント。コマツは「まだ就任したわけではないので、現段階でコメントできない」、LIXILは「現時点での回答は辞退したい」とした。
 トランプ氏が選挙戦の政策で打ち出した▽インフラの大規模な再整備▽連邦法人税率の大幅な削減(35%↓15%)▽環太平洋経済連携協定(TPP)撤退-などが、今後の事業活動にどう影響するかについて聞いたが、各社から具体的な回答は得られなかった。

(日刊建設工業新聞様より引用)