西松建設、伊都研究所/銀ナノプレートの製造方法確立/11月から試薬販売

 西松建設は28日、環境関連技術の研究・開発を手掛ける伊都研究所(神奈川県藤沢市、伊東謙吾社長)と共同で、平板状の銀ナノ粒子(ナノは1メートルの10億分の1)の製造方法を確立したと発表した。均質な平板状粒子を副生成物なく安定的に生産し、従来より高濃度で安価に提供することが可能。銀が持つ高伝導性や殺菌性を利用した建設分野や医療分野などへの幅広い活用が見込まれる。同社は吸収波長の異なる4種類の銀ナノプレート水分散液を用意し、11月中に試薬として販売を始める。
 銀は高い伝導性と殺菌性を持ち、光が当たると振動運動が発生。周囲に電場が生じる。この電場と入射した光が共鳴すると、特定の波長の光が強く吸収または散乱される「表面プラズモン共鳴」が起こる。この共鳴現象を利用して、多くの研究機関で遮熱、抗菌材料、体外診断薬などの開発が進められている。
 西松建設らが確立した製造方法では、副生成物がなく、均質な平板状の粒子だけを製造できる。数十ナノメートルから1000ナノメートルまでの粒子を製造可能なため、可視光線から近赤外線までの広範囲で、特定の光源に焦点を当てた表面プラズモン共鳴の研究に利用できる。さらに長期安定性に優れ、常温で3年以上経過してもほとんど性状が変化しないという。
 試薬販売に当たっては、可視光に作用する410ナノメートル、525ナノメートル、650ナノメートル、近赤外線に作用する850ナノメートルと吸収波長の異なる4種類の水分散液を用意。いずれも25ミリリットルで販売価格は2万円(税込み)。基礎研究用試薬の販売などを行う正晃(福岡市東区、印正哉社長)から販売する。
 銀ナノ粒子は粒径が大きいほど吸収波長が長くなり、遮熱性も高くなる。粒径により吸収・分散する光源が異なるため、目に見える色彩も変わってくる。こうした特性を生かし、建設分野では遮熱や抗菌機能を有する建築材料、塗料への活用が期待される。
 同社は他企業や大学と共同で、有機薄膜太陽電池の発電効率向上や建築材料の研究を進めている。さらに試薬販売により、銀ナノ粒子を活用した技術開発の裾野の拡大を目指す。

(日刊建設工業新聞様より引用)