豪雨被害の北海道/河川工事、農地再生とセットで/河道掘削土を復旧に提供

 昨年8月に台風の直撃と記録的大雨で農地の土壌が流失する大きな被害が出た北海道で、緊急の治水対策工事と農地の再生をセットにした事業が進んでいる。河道掘削工事の現場で出る土砂を被災農地に運んで復旧に活用するという取り組み。農地の被害面積は約4万ヘクタール、金額にして543億円に及んだが、今のところ離農者は出ていないという。日本の「食料庫」でもある北海道の農業の早期再生に河川工事が貢献している。
 国土交通省北海道開発局と道は、台風被害を受けて「北海道緊急治水対策プロジェクト」を進めている。16~19年度の4年計画で、十勝川水系、常呂川水系、石狩川水系などで国と道が管理する河川の計696カ所に総額約831億円を投じ、緊急的・集中的に堤防整備や河道掘削、流木除去などの対策工事を行う。開発局と道はプロジェクトを進めるに当たり、「農作物を守り全国の消費者に貢献する」との方針を掲げた。
 農作物と一緒に土壌も流失した農地の復旧に向け、地域ごとに河道掘削土の活用を調整しようと、地元市町やJAにも参加してもらい地域単位の連絡調整会議を組織。被災農家の意見を聞きながら、掘削土のマッチングを行っている。
 その結果、開発局の直轄事業分だけでも16年度中に十勝地方で帯広市、芽室市、清水町の河川工事から搬出される約17万立方メートルの土砂を78戸の農家に提供。17年度は前年度を上回る約25万立方メートルの土砂を農地に運び込む作業が今月完了する予定だ。
 オホーツク海沿岸地域でも16年度、1万8000立方メートルの土砂が農地に運び込まれ、北海道のほぼ中央に位置する南富良野町の農地にも1万2000立方メートルの土砂を運び込む作業が本年度に既に終了している。
 常呂川、十勝川など直轄工事の現場から土砂を搬入する被災農地約500ヘクタールのうち、この春に作付けが可能になったのが約280ヘクタール、今秋に作付けできるようになったのが約130ヘクタール。残り約90ヘクタールも、18年度の営農再開を目指して復旧を進めていく計画だ。
 対象となる工事では、建設業者との契約で掘削土砂の搬出先を提示。被災農地に直接搬入したり、中継地点となる仮置き場に運んだりする。土砂を運搬するダンプの前面には、「災害支援対策」と明記した横幕を掲げ、地域住民への理解促進に役立てている。
 昨年8月の台風・豪雨による北海道内の被害総額は約2800億円で、過去最大だった1981年の2705億円を上回った。激甚化する豪雨災害への対応は地域にとって大きな課題。治水工事から出る土砂を農地の再生に有効活用する取り組みは、地域の守り手として建設業が地元に貢献する好事例ともいえる。
 地元農家からは「土がなければ営農できない。農地を復旧できる土が確保されてよかった」といった声が出ているという。

(日刊建設工業新聞様より引用)