金融緩和継続でも不動産価格に天井感

首都圏の新築マンションは下落


日銀が9月21日に行った金融政策決定会合で金融緩和政策持続の方向性を明確にしたが、すでに過熱感のある不動産市場へのインパクトは薄いようだ。
主要都市の不動産の専門家に、各エリアの不動産市場の状況や今後の予想を聞いた。


東京の中古マンションの価格は右肩上がりで、13年半ばと比較し2割程度上がっている。
取引件数も今年は四半期の移動平均値で1万3000件と、13年の水準より2割弱増えたままだ。

一方、首都圏の新築マンションの販売価格は13年半ばの4500万円から5700万円にまで上がってきた。
だが、今年に入ってから価格が下がってきた。
みずほ総合研究所(東京都千代田区)の市川雄介主任エコノミストはこの9月までではさらに下がっていると予測する。
「建築費が上がったままで価格が高止まりし、需要がついてこなくなったのではないか」と話す。

日銀が打ち出した『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の内容は不動産市場にどのような影響を与えうるのか。
市川主任エコノミストは「現状維持の方向性を示しただけで、市場側は今までとあまり変わらない、という受け取り方をしたようだ」と話す。不動産価格は横ばいから小幅な値上がりが続くとみる。

地方都市の状況はどうだろうか。
大阪で不動産鑑定を行う立地評価研究所(大阪市)の若崎周社長は「大阪の不動産は天井にある。
投資用物件の利回りは5%後半から4%前半まで下がっており、東京と同水準だ。
そのため大阪で不動産を探していた投資家はあきらめている」と語る。
これからは調整局面に入ると分析する。

名古屋エリアはすでに価格が上げ止まっている。
東京カンテイ名古屋支店(本社:東京都品川区)の有馬義之ゼネラルマネージャーによると、マンション価格は2年前から一貫して上昇してきた物件価格の動きが今年に入り鈍くなった。
「名古屋は住宅の投資マーケットが狭い。実需が中心で、すでに値段が高いので購入者も手が出ない。それを見越し、デベロッパーは新築の戸当たり面積を狭くし、価格が今の水準を超えない物件を企画している。そのため、金融緩和継続でもマンションの値段は横ばいだろう」と推測する。

福岡で投資コンサルティングなどを行う玄海キャピタルマネジメント(福岡市)の深野政治執行役員は「現在は高止まりの状況。リーマン・ショック以降6%あった利回りが、金融緩和で加熱し5%前半になり、現在は5%を切ったものも出てきている」と語る。
すでに新築供給は止まっており今後は大きな値動きはないと見る。
札幌の不動産市況に詳しいインフォメーション・システムキャビン(北海道札幌市)の志田真郷社長は「金融緩和前と比較して4~5割高くなった。現在は、建築費が家賃収入に見合わない物件が急増している。市内では数千規模で新築が供給されているエリアがあり、家賃相場が崩れる兆候が見えている」と危機感を募らせる。

金融緩和により、首都圏から始まった不動産の値上がりは、大阪・名古屋・福岡からさらに札幌へと波及し、現在はどの都市でも価格上昇が止まっている傾向にある。
今回の金融緩和継続による急激な価格上昇には至らないとみられる。

(全国賃貸住宅新聞様より引用)