関東地区1都7県/公共建築物の木造化機運高まる/木造化率、4県で全国平均上回る

 関東の各都県(東京、栃木、群馬、茨城、埼玉、千葉、神奈川、山梨)で、公共建築物(民間事業者が建設する教育、医療・福祉施設を含む)の木造化へ向けた機運が高まっている。林野庁の集計では、木造化率が全国平均を上回る県が4県。他の都県も上昇傾向にある。法改正や技術の進展、自治体職員や設計事務所を対象としたセミナーや見学会の開催などが奏功しているようだ。
 林野庁がまとめた都道府県別の公共建築物の木造化率(15年度、延べ床面積ベース)によると、山梨、茨城、栃木、群馬の4県が全国平均(11・7%)を上回った。南関東各都県は全国平均より低いが、着実に上昇している。
 最も木造化率が高い山梨県は、森林が県土の78%を占める全国有数の森林県で、強度に優れたカラマツ材が特に豊富という特質を生かし、県が審査・選定し販売協定を結んだ県産材を安定供給する「やまなし提案型システム販売」と呼ぶ独自制度を設けている。2020年東京五輪関連施設への県産材導入へ向け、県外への販売にも力を入れる。
 栃木県は16年に「とちぎ木材利用方針」を改定。延べ1000平方メートル未満の施設を原則として木造化するとの目標を打ち出した。群馬県は木材活用方針を策定している自治体が35市町村中29市町村にとどまっていることから、未策定の市町村に方針策定を働き掛けている。茨城県は、駅、バスターミナル、病院、銀行、郵便局、私立学校、社会福祉施設など公共性が高い民間施設整備の木造化・木質化にも補助を行っている。
 木造化率が全国平均を下回っている南関東各都県でも導入へ向けた取り組みが加速してきた。
 埼玉県では、公共木造施設の普及・啓発を図る組織として「埼玉県木造公共施設推進協議会(板東正一郎会長)」が昨年4月に発足。協議会が昨年7月に所沢市、今年4月にさいたま市で開いたシンポジウムには多数の市町村職員が参加した。
 神奈川県も近年、設計事務所を対象とした生産地見学会を年1、2回開いており、設計段階からの木造浸透を図っている。東京都は多摩産材の活用を軸に導入を推進。千葉県は低層の公共建築物について原則として木造化を図るとともに、公共土木工事や木質バイオマスへの利用促進にも取り組んでいる。
 木造化が進み始めた背景には、建築基準法改正やCLT(直交集成板)など木造の技術革新で導入の可能性が高まったことがある。自治体職員や設計事務所を対象としたセミナーや見学会もこうした動きを後押ししている。

(日刊建設工業新聞様より引用)