関東整備局/鬼怒川緊急プロジェクト、本格着工から1年/3月までに漏水箇所復旧

 15年9月の関東・東北豪雨で大きな被害を受けた茨城県の鬼怒川下流域で、本復旧工事が始まって約1年が経過した。関東地方整備局などは、総合的な治水対策を講じる「鬼怒川緊急対策プロジェクト」を展開中で、緊急性の高い復旧工事は着実に進展。現在は38工事が動いており、漏水箇所の復旧は今年3月までに完了する予定だ。今後も、多くの工事が行われる見通しだ。
 同プロジェクトでは、関東整備局や茨城県などが被災箇所の復旧のほか、堤防整備やかさ上げ、河道掘削などのハード対策と、タイムラインの活用といったソフト施策を一体的に進めている。国直轄区間の整備延長は44・3キロで、下流ブロックは18年度末まで、上流ブロックは20年度末までの完成を目指している。
 堤防が決壊した常総市の上三坂地区では16年1月に堤防の本体工事が始まり、同5月に工事が完了。大規模に水があふれた同市の若宮戸地区と下妻市の前河原地区の築堤工事も1期工事が完成済みで、今年4月にも2期工事に着手する。担当する関東整備局下館河川事務所の里村真吾所長は、「梅雨や台風前までの時期に実績が残すことができた。地域や施工業者らのおかげだ」と話す。
 八千代町の大渡戸地区では、かつて河道があった場所で堤防の漏水が発生した。れきが混じった砂層が確認されており、復旧作業が進められている。建設現場の生産性向上策「i-Construction」の一環として、ICT(情報通信技術)活用工事の施工者希望I型を適用。マシンコントロール(MC)による施工などで効率化を図っている。26日には、2回目となる無人航空機(UAV)での出来形計測を実施。施工を担当するキムラ工業の堀越利之所長は、「従来よりもはるかに精度の高い測量ができる」と語った。
 常総市の国生地区では、吉田組の施工で築堤工事が進んでいる。発注者指定型のICT活用工事で、同社は3台のICT建機を現場に投入し、のり面整形などを行っている。盛り土材の均質化を図る作業でもMCを利用しており、同社の土岐秀太郎監理技術者は「自動制御で効率よく作業できている」と話す。
 常総市の若宮戸地区では低水護岸工事が進む。施工は新井土木と常陽建設が担当。現在は、盛り土を行うための鋼矢板の打設作業などを実施しており、根固めブロックの据え付けなどにも取り組んでいく。
 常総きぬ大橋に近接している常総市の三坂工区では、中三坂地区や上三坂地区など複数の工区で築堤工事や災害復旧工事が実施されている。今月29日には、施工を担当する佐々木建設と新井土木、高橋建設、ユーディケー、北都建設工業、片柳建設、田部井建設の7社が合同で見学会を開く。自由に現場を見てもらおうという企画。同事務所は、市内の全小学校にチラシを配布しており、治水対策の重要性や建設産業の魅力を広くPRする考えだ。
 今後の見通しについて里村所長は、「今年に用地をどれくらい買うことができるかによってプロジェクトの成否が左右される」として、合意形成や用地取得を精力的に進める方針だ。「今のペースでやっていても20年度までに完成させられるか確約が難しい。もっと戦略的に効率的に進めたい」と話している。

(日刊建設工業新聞様より引用)