首都圏4都県の宅地被害-熊本地震級で36万件/被害額は1兆円超/国交省が試算

 国土交通省は、首都圏4都県(東京、千葉、神奈川、埼玉)で熊本地震級の内陸直下型地震が発生した場合、「崩落などの宅地被害が累計で約36万件に上る」との試算結果をまとめた。被害額は1兆円を上回る見通し。政府が今後30年以内に70%の確率で発生すると予測する首都直下地震に備え、被害を最小化するための耐震化が急務になりそうだ。
 熊本地震の規模は地震の大きさを示すマグニチュード(M)が7・3、最大震度が7だった。震度7の揺れを同じ震源地(熊本県益城町)で2回観測した前例のない災害となった。震源の深さが約10キロ程度と比較的浅かったのも被害が拡大した要因となり、熊本市を中心とする被災地全体で盛り土や擁壁の崩落といった宅地被害が計約1・5万件発生した。被害額は数百億円規模に上るという。
 国交省は宅地被害が拡大した熊本地震を教訓に、住宅が集中している首都圏4都県で熊本地震級の大規模地震が発生した場合の宅地被害規模を初めて試算した。震度分布や地形、宅地の老朽度合いといった詳細な条件は考慮せず、熊本市の住宅数に対する宅地被害件数と同じ割合を採用する形でおおまかに試算した。
 その結果、総務省の2013年住宅・土地統計調査結果を踏まえ、4都県にある住宅1787万2700戸に対し、宅地被害は35万9834件に上るとした。
 内訳を4都県別に見ると、東京都は住宅735万9400戸に対し、宅地被害は14万8168件発生する。埼玉県は住宅326万6300戸に対し宅地被害が6万5761件、千葉県は住宅289万6200戸に対し宅地被害が5万8310件と予測。神奈川県は住宅435万0800戸に対し、宅地被害が8万7595件発生するとした。
 宅地被害が数百億円規模だった熊本地震を考慮すると、4都県の被害額は累計で1兆円を上回る可能性が高いとみられる。
 首都直下地震が発生した場合の4都県の宅地被害規模は想定していないが、政府が13年12月にまとめた首都直下地震の被害想定では、マグニチュードと最大震度について熊本地震と同じ数値を採用している。
 国交省は今回の宅地被害想定を踏まえ、全国の地方自治体に対して18年度に拡充する防災・安全交付金の活用を促す。交付金の支援メニューに宅地擁壁の危険度調査と、崩壊した宅地の応急復旧工事を追加し、大規模地震発生前後の対策を後押しする。

(日刊建設工業新聞様より引用)