鴻池組/トンネル維持管理にAR技術活用/五井トンネル(愛知県蒲郡市)で効果実証

 鴻池組は、現実空間の画像に各種の情報を重ねて表示するAR(拡張現実)技術を活用したトンネル維持管理システムを開発した。タブレット端末などにあらかじめ登録したトンネルの2、3次元の施工関連データを、点検・診断時に任意の位置で呼び出し、現状の画像と高精度でマッチングさせて簡単に比較できる技術で、維持管理だけでなく、施工管理や品質管理の分野への活用も可能。国土交通省中部地方整備局発注の国道23号蒲郡BP五井トンネル(仮称)の工事の竣工検査で使い、有効性を確認した。
 CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)で作成した設計・施工などの各種モデルを活用し、施工管理や品質管理の向上につなげるのが狙い。
 新たなシステムは、QRコード使用タイプ(電池不使用)とビーコン使用タイプ(電池使用)の2種類。使用時には、あらかじめトンネル施工データ(2次元データ=設計と実施支保パターン、坑内観察調査結果、計測結果、覆工施工記録など、3次元データ=ひび割れ調書、地質展開図、湧水展開図、削孔検層の支保部材など)を、タブレット端末やウエアラブル端末(コンピューターと接続した専用眼鏡)の小型コンピューターに登録しておく。
 QRコード使用タイプでは、端末でQRコードを読み込み、トンネル任意の位置の3次元データを呼び出す。ビーコン使用タイプでは、端末のBluetooth機能(デジタル機器用近距離無線通信規格)を利用し、作業者の位置の3次元データを呼び出す。いずれも空間認識技術を利用し、単眼カメラで覆工の目地形状を認識させ、呼び出した2次元、3次元データとトンネル坑内との位置をマッチングさせる。
 維持管理分野以外に、あらかじめ3次元設計データ(路線、躯体、切り盛り土工の形状など)を小型コンピューターに登録し、GNSS(全球測位衛星システム)、ビーコンと、端末を使ってデータと画像を比較することで施工上の問題点を事前に把握できる。施工中の構造物に呼び出すことで施工ミスを防げる。
 トンネル施工中のデータ(坑内観察調査結果、地山前方探査結果など)を小型コンピューターに登録すれば、地山崩落や変状、突発湧水の発生原因を特定でき、迅速な対応が可能になる。施工中や維持管理のデータをクラウドを利用して順次更新することでAR技術を活用できるという。

(日刊建設工業新聞様より引用)