APEC質の高いインフラ会議・上/世界標準へ取り組みスタート

 ◇日本企業に出番、PR強化
 脚光を浴びるインフラ輸出。昨年の先進7カ国(G7)伊勢志摩サミットでは、単なるインフラ投資の活性化ではなく、「質の高いインフラ」を普及させることの必要性が先進各国の共通認識とされた。価格競争だけでは、供用中の施設の事故など利用者をも危険にさらす低品質のインフラが増える懸念があるためだ。「質の高いインフラ」を世界標準にする動きがアジア・太平洋地域から始まる。
 「戦略的な経済協力、そして国際標準の獲得。新しいインフラシステム輸出戦略を立て、現在10兆円のセールスを2020年までに3倍の30兆円まで拡大します」-。安倍晋三首相はアベノミクスの一つ、成長戦略でこうした方針を打ち出している。
 16年11月、ペルー・リマで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)ペルー会合の首脳宣言は、同年6月の伊勢志摩サミットで合意された「質の高いインフラ投資の推進のためのG7伊勢志摩原則」を踏襲。持続的な経済成長にとっての質の高いインフラの重要性を再確認するものとなった。
 21の国・地域で構成するAPECは、先進国だけでなく途上国も構成メンバーになっている。インフラの整備水準を一刻も早く引き上げたい途上国までもが、「質の高さ」を目指した取り組みに合意した意義は大きい。
 関係閣僚会議では、アジア太平洋地域の経済発展にはインフラの「量」だけでなく、ライフサイクルコストや環境性能、安全性などを考慮した「質」も追求する必要があるとの認識で各国が合意。首脳宣言には「持続的な経済成長にとって、質の高いインフラの重要性を再確認する」との文言が盛り込まれた。
 折しもここ数年は、世界経済をけん引してきた新興国の成長に陰りが見えていた時期に当たる。世界経済の成長を持続させるために、「質の高いインフラ投資を活性化させる」という狙いもあった。
 国土交通省もここ数年、質の高いインフラを積極的にPRする活動を展開中だ。安倍首相をはじめ各閣僚の外遊時に経済団体やインフラ関連企業に同行してもらい、日本の強みである質の高いインフラに関する技術力・製品を積極的に売り込んでいる。国内でも、石井啓一国交相と各国の駐日大使との懇談会や、大使らを国内の代表的なインフラに案内する「シティーツアー」を実施中だ。優れた技術力を持つ企業を訪問してもらう「カンパニーツアー」も開催。日本企業の海外展開を後押しする政策に力を注いできた。
 東日本大震災からの復興や、2020年東京五輪関連のプロジェクトなどで現在は活況を呈している国内建設市場だが、1990年代初めのバブル経済崩壊後は長らく低迷状態にあった。人口減少や財政制約、老朽インフラストックの増大などを背景に、現在の市場環境が長期にわたって続くことは見込めない。
 そうした中で、建設業界にとって追い風になる可能性の高い「質の高いインフラ」が、国際標準化に向かって動きだした。
 「APEC 質の高いインフラ・ハイレベル会議」が10月17日、東京都内で開かれる。
 =次回から2面に掲載します

(様より引用)