2017年春の叙勲受章者に聞く/旭日大綬章/大成建設特別顧問・平島治氏

 ◇激動の時代を乗り越えて今が
 今回の受章は大変に光栄であり、業界としても27年ぶりのことと聞いている。個人の話ではなく、業界にとって本当に喜ばしいことで良かった。建設業が国の基幹産業として社会に認知していただけたとも言え、若い人たちには、ますます皆で努力して堂々とした産業にしてほしいと思う。
 1997年、バブル経済崩壊後の大変厳しい時代に大成建設の社長を引き受けた。そして4年後の2001年、日本建設業団体連合会(現日本建設業連合会)会長に就任した。4年の任期中に会員企業が65社から56社に減ったことでも分かるように、当時は多くの会社が不良債権の処理に追われ、吸収合併や業界再編などといった話ばかりで「ゼネコンはいつどうなるかも分からない」と言われた時代だった。
 政治主導で大掛かりな行政改革や構造改革が進められた頃でもあり、政治的な動きによる影響がいかに大きいかも知った。そんな中でも、当時から言い続けてきたのは、建設産業は人々が生活していくのに必ず必要な産業であるということ。建設業の仕事が無くなることはなく、ある意味でこんなに恵まれた産業はない。こうした産業に従事する私たちが行っていくべきことは、努力をして技術を磨くことに尽きる。
 技術とは価格、品質、納期をトータルしたものであり、「良いものを安く早く造る」が基本になくてはいけない。単純なことなのだが、この基本を忘れて建設産業をいろいろと論じると間違えてしまう。入札制度改革でも「ただ安ければよい」「競争しろ」ではうまくいくわけがない。
 それに、建設産業の生産現場が天候に左右される屋外にあり、しかも労働集約型であることもよく忘れたまま議論されてしまう。建設の仕事は人が行うもので、良い品質のものを造るには職人の精神がなければならない。こうしたことも十分に踏まえて入札の問題や働き方改革も考えていかなくてはいけない。
 今は国を挙げて海外へのインフラ輸出に取り組んでおられる。海外のインフラ整備に貢献し、それが同時に国内建設企業の仕事にもなればありがたいが、簡単なことではない。「日本の技術は一番」と言うが、海外の業者と競争して本当に勝っていけるのか。日本企業には、造る物の品質は高く、納期も守るといった優れた面はあるが、国際競争ではこれらが全てではない。日本の建設企業が海外でもっと通用するようになるには、さらに努力し、人材の確保・育成も進めなくてはいけない。
 建設はもともと利益を大きく伸ばせる産業ではないが、各社がもっと利益率を高められれば労務単価も上げられる。労務単価が上がれば働く人たちはもっと休める。こうしていかないと働き方改革の実現は難しいだろう。国内の建設需要は震災復興や2020年東京五輪などを背景に上向いているが、これからもフォローの風がずっと吹き続けるとは考えられない。バブル経済崩壊後の激動の時代を知る一人として、建設産業は油断することなく進んでほしいと思う。
(随時掲載します)

(様より引用)